生成AIの進化によってソフトウェア開発の在り方が大きく変わるなか、元IBMのエンジニアによる「プログラミング言語の選択に意味はあるのか」という疑問が、エンジニアの間で議論を呼んでいる。
ソフトウェア開発の現場は、生成AIの登場によって大きく変化しつつある。かつてはコード補完ツールとして使われていたAIは、今や設計支援からコード生成、さらにはバグ修正までをも担い、プログラマーのコーディング作業そのものを大きく肩代わりする存在になりつつある。
そこで浮かび上がるのが「プログラミング言語を選ぶ意味はどこにあるのか」という疑問だ。これまでは、プログラマーは自らが習熟した言語を使って開発するのが当然とされてきた。特にここ数年は、AI開発やデータサイエンスの分野を中心にPythonが圧倒的な支持を集めてきた。
これに対して、元IBMエンジニアの「もしAIがコードを書くなら、なぜPythonを使うのか」という疑問が、エンジニアの間で議論を呼んでいる。AIが実装の多くを担うようになりつつある今、プログラミング言語の選択に意味はあるのだろうか?
この議論のきっかけとなったのは、電子出版プラットフォーム「Medium」で2026年4月28日に公開された「If AI Writes Your Code, Why Use Python?」(もしAIがコードを書くなら、なぜPythonを使うのか?)という記事だ。執筆したのは、元IBMエンジニアであり、AI時代のソフトウェア開発について積極的に発信しているノア・ミッチャム氏だ。
同氏によれば、これまでPythonやTypeScriptが広く使われてきた最大の理由は、素早く開発できることにあった。豊富なライブラリや巨大なエコシステムが整っており、人間が効率よくコードを書ける環境が用意されていたからだ。
一方で、RustやGo、C++といった高性能な言語は、学習コストが高く、扱いも難しい。そのため、性能面で優れていても、開発スピードや保守性を考えると採用しにくいケースが多かったという。
だが、この状況はAIの急速な進化によって変わり始めている。ミッチャム氏によれば、2026年時点の最新AIモデルは、RustやC++のような複雑な言語でも高精度にコードを生成できるレベルに到達している。つまり、「人間には難しい」という欠点が、AIにとっては大きな問題ではなくなりつつあるのだ。
実際に、その変化を示す事例も増えている。MicrosoftはAIを活用してTypeScriptコンパイラをGoで再実装し、大幅な高速化を実現したという。またAnthropicの研究者は、AIエージェントを活用してRust製の大規模なCコンパイラを短期間で構築したとされる。
こうした事例から見えてくるのは、人間が書きやすい言語を優先する時代から、AIが扱いやすく、高性能なシステムを作れる言語を重視する時代への変化だ。
さらに、Pythonの強みそのものも変わり始めている。これまでPythonは、豊富なライブラリとオープンソース文化によって発展してきた。だが、AIの発展によって既存コードを少し修正するより、AIに別言語へ丸ごと移植させる方が効率的なケースも増えている。その結果、従来のエコシステム中心の開発スタイルは徐々に変化している。
もちろん、Pythonの価値が完全になくなったわけではない。現在でも機械学習やデータ分析の分野ではPythonが主流であり、AIも全ての言語を同じレベルで扱えるわけではない。RustやGoに比べると、ZigやHaskellのような言語は学習データが少なく、AIによるコード生成の精度もまだ限定的だ。
それでも、AIの普及によってソフトウェア開発における人間の役割が変わりつつあるのは確かだ。これまでは「人間がどれだけ速くコードを書けるか」が重視されていた。だが、今後はAIに何を作らせるのかを設計し、生成されたコードをレビューし、品質を管理するスキルが重要になっていく。
つまり、これからの開発者に求められるのは、単なるコーディング能力だけではない。AIを適切に活用しながら、全体設計や品質をコントロールし、高品質なソフトウェアへ仕上げる力こそが、本当の価値になっていくのではないだろうか。
上司X: AIがコードを書く時代だからこそ、Pythonはもう選ぶ必要はないかもしれない、という話だよ。
ブラックピット: え、Pythonて今も断トツの人気だと思うんですが。
上司X: 確かにそうなんだけど、それは人間にとっての人気だという指摘なんだ。
ブラックピット: 人間にとって、ですか?
上司X: そう。もちろんPythonは今もとても人気があるから、リソースは「GitHub」をはじめたくさんの場所にあってAIも学習しやすい。ただ、AIにとっては、人間が使いやすいPythonを選ぶ必要性は薄いということ。
ブラックピット: AI自体の開発にはPythonが適しているけど、AIは別にPythonを使わなくてもいい、ということですかね?
上司X: そういうことだ。AI開発基盤そのものが、自身や周辺ツールをPythonで改善しているケースは珍しくないな。でも、AIを使う開発に限らず一般的なソフトウェア開発では、RustやGo、C++みたいな言語でプログラミングした方が実行性能は高くなるから、AIはそちらを選択する。
ブラックピット: なるほど。だからAIを活用したプログラミング環境ではもはやPythonを選択する意味はない、って話なんですね。
上司X: プログラマーがプログラム言語のことを全く知らないという状況はさすがに訪れないとは思う。でも、これからのプログラマーは最適な設計やレビューを行いながら、AIに的確な指示を出すスキルが求められるようになるかもな。いっそうの精進が必要かもしれないな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
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中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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