Blanccoの報告書によると、AIへの対応でコンピューティングコストがかさむ中、データプライバシーの保護やコンプライアンス対策のための予算が平均46%増加したという。
データ消去サービスを提供するBlanccoが2025年6月4日(現地時間、以下同)に発表した報告書によると、米国の企業は過去12カ月の間に、データ保護のための支出を増加させたようだ。本調査はColeman Parkesが2000人のITおよびサステナビリティの専門家を対象に、2025年2月から同年3月にかけて実施したものだ。
世界中の企業の半数以上がデータプライバシーの保護およびコンプライアンス対策のための予算を増やしており、支出が平均46%増加している。特に米国の企業は前年比71%という大幅な増加をみせた。
支出急増の背景として、AIに対する規制強化など新たな法規制の導入を含む幾つかの要因があるとされている。Blanccoは「規制がきっかけになるケースはあるが、IT部門やコンプライアンス部門は、持続可能性への対応や資産のより賢い活用といった内部からの要求にも直面している」と述べた。
企業のAIへの取り組みはコンピュータコストを押し上げ(注1)、CIO(最高情報責任者)は規模に応じた自動化の実現に取り組んでいる。コンプライアンスとデータプライバシーのコストも増加し、企業はAIを監視する動きに対応して増大したサイバーセキュリティリスクを軽減しようとしている。
保険仲介サービスを提供するGallagherが2025年3月に発表した報告書によると(注2)、5人に2人以上のリーダーが「AI導入に伴うリスクの増大を受けて、サイバーセキュリティ対策を強化し、プライバシーおよびデータセキュリティ対策を再評価した」と述べたという。
Blanccoの調査に参加した回答者のほぼ半数は、AIが冗長または廃止されたデータの削減に役立ったと評価した。しかし、4人に1人以上のリーダーは逆に「AIの使用が自社のIT環境におけるこの種のデータの存在を増加させた」と述べた。
リーダーはAIの大規模導入における障害としてデータの問題を挙げる。ITサービスを提供するFliptのヴィピン・グプタ氏(プレジデント兼最高技術責任者)は、2025年5月に開催されたMITスローン経営大学院主催のCIO向けシンポジウムで「この課題は、新たな種類のデータが出現することでさらに複雑化する」と述べた。
「私たちはデータをどのようにラベル付けし、どのように理解するかを再考する必要がある。そして、その新しい考え方はいまだ発展途上にあるようだ」(グプタ氏)
グプタ氏は「AIはこの問題に対する解決策を提供し、組織が既存のデータをより効率的に整理する手助けをするかもしれない」と述べた。大規模言語モデルやその他のツールが市場に登場し、データラベリングの推進を支援している。
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