ハッピーカーズの調査によると、IT・ソフトウェア業を中心に人材不足が深刻化しており、AI導入が進んでいる。業務効率化のためにAI活用が進んでおり、簡易業務から自動化が始まっている。
ハッピーカーズは2025年6月25日、「AI時代の人材配置と経営判断」に関する調査結果を発表した。IT・ソフトウェア業、建設業、サービス業に属する中小企業の経営者1007人を対象に、AIの導入状況や人材戦略の変化、今後の課題などを聞いた。
調査では全体の約7割が「人材不足を感じている」と回答。中でもIT・ソフトウェア業では「とても感じている」と答えた割合が37.7%と高く、他業種よりも人材確保の難しさが際立っている。AIの導入状況については、IT・ソフトウェア業で「導入している」「導入に向けて準備中」と答えた企業が約6割に達している。建設業とサービス業は「導入している・準備中」の割合は低く、特に建設業では「導入予定はない」が52.0%と半数を超えており、導入意欲に業種間で大きな差があることが示された。
導入・検討中のAI活用領域では「一般事務・データ入力の自動化」(41.6%)が多く、「顧客対応」(30.5%)「勤怠管理・人事労務の効率化」(27.1%)が続いた。AI活用は「まずは簡易な業務から」という傾向が強く、日常的かつ定型的な業務から導入されていることがうかがえる。
AI導入による人員削減については、「実施済み・予定あり」と答えた割合が48.9%だった。縮小が検討されている業務は「データ入力・管理」(47.0%)「事務・総務・庶務」(35.6%)「会計・経理」(31.8%)が上位を占めた。
AIでは代替が困難な業務として「顧客との信頼関係構築」(44.8%)「クレーム対応」(33.6%)「現場での臨機応変な判断・対応」(31.3%)が挙げられている。これらの領域においては対人スキルや判断力が引き続き重視されている。AIが普及した場合に重要視されるスキルとしては「コミュニケーション力」(39.8%)「問題解決能力」(35.2%)「創造力・企画力」(33.9%)が上位に挙げられた。
AIや働き方の変化で「自分の働き方を見直す必要がある」と回答した割合は約7割に上った。変化を前提とした働き方やスキル形成が今後のスタンダードになりつつあることが分かった。
AI導入は単なる業務効率化だけでなく人材戦略や組織運営の再設計を迫る要因として中小企業経営にも影響を与えている。今後、AIによる省力化および人による付加価値創出の両立が求められる時代になる可能性がある。
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