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「Copilotだけじゃない」現場が答えた、Microsoft 365アプリのリアルな活用例Microsoft 365の利用状況(2025年)/番外編

Power AutomateやPower Appsによる自動化、SharePointを中心とした情報管理、OneNoteやStreamなどの活用により、現場主導での業務改善が進んでいる。一方で、習熟度や運用ルールの課題もある。

» 2025年11月20日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 生成AIや業務のデジタル化が急速に進む中、企業における「Microsoft 365」アプリの活用は着実に広がっている。近頃は、「Microsoft 365 Copilot」はもちろん、ローコード開発基盤の「Power Platform」や、「Forms」「SharePoint」といった周辺アプリの活用も着実に進んでいる。

 キーマンズネットが実施した「Microsoft 365の利用状況」に関するアンケート(実施期間:2025年10月8〜17日)で、Microsoft 365のOfficeアプリ(「Excel」「Word」「PowerPoint」「OneDrive」)や「Teams」以外のアプリを「使ったことがある」と回答したユーザーを対象に、その活用用途を尋ねた。本稿では、自由記述で寄せられた100件超の回答を基に、Power AutomateやPower Appsによる自動化例やアプリ開発の活用事例、SharePointを中心とした情報管理・ファイル共有、「OneNote」や「Stream」「Clipchamp」など周辺アプリの利用傾向を整理し、回答者のユースケースを紹介する。

「脱Excelマクロ」職人ワザに頼らない、Power Platformの活用例

 最も多かった回答は、「Power Automate」「Power Apps」「Power BI」などのサービス群から成る「Power Platform」の活用に関するものだった。中でもPower Automateに関する声が特に多く、「SaaSとのAPI連携の自動化」「SharePointフォルダの監視」「Forms の回答をTeamsへ自動投稿」「自動応答メールの送信」など、バックオフィスから営業、品質管理まで多岐にわたる業務での活用が挙げられた。

 従来の手作業やExcelマクロによる煩雑な業務を、効率的に改善する方法も寄せられた。

 Power Automate によって「これまで『Excel』のマクロ機能やVBAで実行していた処理を、直感的なフローに置き換えられた」「手作業による二重チェックが不要になった」といった声も寄せられた。

 Power Apps に関する回答も多く、「不適合管理アプリを開発した」「営業日報アプリや Teams 返信の自動化アプリを作成した」など、現場が自ら業務アプリを内製するユースケースも多数聞かれた。一方で、「開発を試みたが断念した」「途中まで作ったが運用に至らなかった」など、スキルや設計面でハードルを感じる声もあり、ローコードとはいえデータモデル設計やUIの配置など一定の習熟が必要である点が課題となっている。

 Power BIの活用も一定数聞かれ、「営業成績の月次可視化」や「アンケート結果のグラフ化」など、主にダッシュボードを中心とした可視化用途で利用が広がっている。さらに、Power AppsとPower BI、SharePointを組み合わせて業務データを一元管理する事例も寄せられるなど、個別ツールの利用にとどまらず、Power Platform全体を連携させた業務プロセス改善が企業内で着実に進展していることがうかがえる。

社内情報のハブとして広がるSharePoint活用

 SharePointに関する回答では、「外部とのファイル共有」「社内ポータルの構築・運用」「データベースとしての活用」といった用途が代表的な活用例として挙げられた。

 特にポータルサイトに関しては、「部門向けの情報共有サイトを運用している」「業務手順書を集約している」など、社内の情報ハブとして活用している事例が目立つ。また、Power Appsのアプリデータの保存先としてSharePointを利用するケースも多く、簡易的なデータストアのような位置付けで利用しているという声もあった。

 ファイル共有については、「個人作業はOneDrive、部門共有はSharePoint」というように、用途に応じて明確に使い分けているという声もあった。

 アプリの使い分けに関しては、利用者数は多くないものの、特徴的な活用例として次のような事例も挙げられた。

OneNote:定例会議の議事録を共有

Stream:会議の録画や議事録の補助

Clipchamp:社内向け動画の編集

Viva Engage:社内事例・ナレッジ共有

 「OneNote」を議事録作成に活用するケースも多く、「TeamsやSharePointと連携させてメンバーと共有している」といった声も寄せられた。また、Clipchampや「Viva Engage」など比較的新しいサービスについても利用が広がり始めており、動画作成やナレッジ共有といった領域でもMicrosoft 365アプリの活用範囲が着実に広がっている。

アプリ活用は広がるが、問題は「習熟度」と「運用」

 こうしたMicrosoft 365アプリを活用したユースケースが多く挙がる一方で、自由記述の中には課題を指摘する声も見受けられた。例えば、次のようなコメントだ。

  • Power Appsを試作したが断念した
  • 自動化フローが複雑化し、属人化した
  • アプリは使えるが、深い活用には時間が必要

 ローコード開発が進む一方で、適切な設計やルール整備を怠ると、かえって運用負荷が増大する可能性もある。特に自動化やアプリ開発は、業務理解とITスキルの両方が求められるため、企業としてナレッジ共有や教育体制を整備することが重要なポイントとなる。

 Microsoft 365 は、従来の Office 中心のツールから、業務プロセスの自動化やデータ管理、チームワークを支える業務基盤へと進化を遂げつつある。今回のアンケート結果からも、Power AutomateやPower Apps、SharePoint、Forms などが組み合わされ、現場主導で業務改善が日常的に行われている様子がうかがえた。

 今後、企業がこれらのツールをどのように使いこなし、どのように業務変革へとつなげていくのか。キーマンズネットでは、引き続き、Microsoft 365活用の動向を追っていきたい。

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