メディア

利益になるデータ、ゴミになるデータ BIツールを入れても成果が出ない4つの理由データとBIツールの活用状況(2026年)/後編

読者調査の結果、BI導入によって成果を上げられたと回答したのは、約60%に上った。一方で、期待通りの成果を上げられなかったとした割合は2025年の調査と比較して16.6ポイント上昇。その背景にある4つの課題とは何か。

» 2026年03月02日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 読者企業へのアンケートを基に、企業におけるデータおよびBIツールの活用状況を紹介する本連載の前編では、全体の4割が「データを活用している」と回答し、特に中小企業ではこの半年間でデータ活用率が急増するなど、企業のデータ活用意欲の高まりが見えた。後編では引き続き、「データ活用の現状とBIツールの利用状況に関するアンケート(実施期間:2026年1月28日〜2月13日、回答件数:189件)」を基に、データ分析体制やBIツールの利用状況を深掘りする。

専門部署だけがデータ分析業務に当たる? 民主化状況を調査

 はじめに、レポート作成やインサイトの抽出といったデータ分析業務をどのような体制で実行しているかを聞いたところ「データ分析環境が整っておらず、各自が必要に応じて独自にデータを分析している」(32.4%)、「全社的にデータ分析ができる環境があり、各自がデータ分析を実施している」(24.3%)、「各事業部門に配置されたデータ分析の担当者が部門内の分析を担っている」(24.3%)、「データ分析の専門部署の従業員が、独占的に分析している」(17.6%)と続いた。全体の約7割の企業にはデータ分析環境が整っているものの、組織内での利用制限やリテラシーの課題もあり、実際に各担当者がデータ分析に取り組めている企業は2割強にとどまる。

photo データ分析業務の実施体制

 次に、データ分析業務の効率化で取り組んでいる工夫を聞いたところ「リアルタイムなデータ取得の自動化」(36.5%)、「分析テンプレートや共通ダッシュボードの活用」(33.8%)、「レポート作成を自動化するツールの活用」(31.1%)が上位に続いた。関連して、データ分析業務で効率化したい工程を聞いた設問では「データの前処理、クレンジング」(25.7%)や「データの統合」(24.3%)が挙がり、データ分析業務の実際は、その前段階であるETL領域の負荷が大きいようだ。

ツールはあっても専門部署に頼りきり? まだ進まない「現場のデータ分析」

 続いてBIツールの導入状況を調査したところ「導入している」と回答した企業は全体の約4割(39.2%)に上った。2025年8月の調査との比較では「今は利用しておらず、今後も利用する予定はない」(27.5%)が11.5ポイント減少する一方で「今は利用していないが、導入を検討中」(19.6%)が5.0ポイント、「今は利用していないが、導入予定」(10.6%)が6.1ポイント増加しており、BIツール導入に前向きな企業は増加傾向にある。

 導入されているBIツールでは、「Power BI」(60.8%)が圧倒的に多く、次いで「Qlik Sense」(16.2%)が続く。これに「MotionBoard」(9.5%)や「Dr.Sum」(8.1%)といった国産BIが追随する。この結果を従業員規模別に見ると、501人以上の中堅・大企業では「Power BI」の導入率が約7割に達した。

photo 導入済みBI。PowerBIが圧倒的

 「導入を検討中」または「導入予定」と回答した企業が検討しているBIツールも、半数以上が「Power BI」(57.9%)で、「MotionBoard」(21.1%)や「Domo」(12.3%)、「Looker Studio」(12.3%)を大きく引き離している。特に中堅・大手規模の企業帯では、既に「Microsoft 365」のライセンスを導入しているケースも多く、追加コストを抑制でき、セキュリティ面で一元管理がしやすいといった理由からPower BIを選択している背景もありそうだ。「Excel に似たユーザーに親しみやすい操作性や、「Teams」や「SharePoint」などの Microsoft 365アプリとの連携が容易なことも、Power BIの強みと言えるだろう。

導入BI「期待を下回った」が16.6ポイント増 背景に4つの要因か

 次に、導入しているBIツールが「期待通りの成果を上げられたか」を調査した結果を見ていく。その結果「おおむね期待通りの成果を上げている」(58.1%)と「期待以上の成果を上げている」(2.7%)を合わせ60.8%と、過半数が期待通り以上の成果を上げていることが分かった(図3)。ただし前回調査比では「おおむね期待通りの成果を上げている」が17.2ポイントと大幅に減少しており、反対に「期待をやや下回る成果だった」が16.6ポイント上昇した。

photo BIツールで期待通りの成果を上げているか

 背景を考察するため、「期待をやや下回る成果だった」「期待を大幅にした回る成果だった」とした回答者に期待通りの成果を得られなかった理由をフリーコメントで聞いたところ、大きく4つの要因が見えてきた。

 1つ目の課題は、データの可視化が実際のビジネス成果にどれほど結びついているかが不明瞭である点だ。「売り上げにあまり影響していない」「業務は楽になったり便利になったと感じるものの、十分な分析や意思決定には生かせていない」といった声もあり、可視化が必ずしも実利につながっていないケースが少なくないことがうかがえる。

 2つ目はデータのサイロ化問題だ。実利に繋げるために全社横断での活用をしたくとも「データが分散している」や「データの正誤性」、「特定部門の特定業務以外では活用されていない」などの壁にぶつかり、活用範囲が特定業務に限定されてしまうようだ。

 3つ目の課題として、個人や組織のリテラシーの差により、BIツールの活用が進む部門とそうでない部門で二極化してしまう点が挙げられた。「社内リテラシー不足」や「スキル不足」「操作の難易度が高く使いこなせる人が限られる」といった声もあり、部門ごとに成果に差が生じていると感じるケースが多いようだ。

 4つ目はゴール設定の曖昧(あいまい)さと評価不足への指摘だ。「何を期待されている成果すらぼんやりとしている」や「分析結果の評価をしていない」「BIを評価する基準を定められない」のように「なぜBIを使うのか」の定義が不透明なまま運用が続いているケースも少なくないようだ。「導入が目的だから」や「作って終わりになっている」との声もあった。BIツール導入後の目標やKPIが設定されていないため、何となく期待外れと感じてしまう方もいるのかもしれない。

 一方で、期待通り以上の成果を上げているとした回答者が挙げた理由では、「関係者に分析データが共有できる環境ができた」や「データ整備がされて各部で活用しているから」「必要なデータを整理している。更新頻度も高く意思決定に貢献している」など、個人や組織のリテラシーやデータのサイロ化の課題をクリアし、組織横断でデータ活用できたことで「目論見通りのKPIが得られた」「経営陣の期待している結果が出ている」との声が挙がった。こうした成果を上げたケース、そうでなかったケースの生の声も参考に、自社のデータ活用体制の構築に生かしてもらえると幸いだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。

アイティメディアからのお知らせ