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最近よく聞く「BPaaS」って何? 中堅・中小企業こそ知っておくべきBPaaSの基礎

エッジデバイスの運用領域では、PCレンタルやDaaSに加え、業務プロセス全体を代行するBPaaSの利用が広がっている。本稿では、その特徴と類似サービスとの違いを整理する。

» 2026年06月10日 07時00分 公開
[土肥正弘キーマンズネット]

 エッジデバイスの運用は単なる機器管理だけでなく、調達から廃棄までのライフサイクル全体や、その周辺業務にまで広がっている。こうした中で、従来のレンタルや運用代行、DaaS(Device as a Service)に加え、業務プロセスそのものを対象とするBPaaS(Business Process as a Service)も登場し、サービスの構造はより複雑化している。

 本稿では、BPaaSの中でもエッジデバイスの調達・運用領域に特化したサービスに焦点を当て、類似サービスとの違いとその特徴について整理する。

最近よく聞く「BPaaS」って何?

 BPaaSとは、人材不足により増大する情報システム部門(以下、情シス)の業務負荷を軽減することを目的としたサービスだ。

 特に、「一人情シス」に代表される少人数体制の企業では、担当者がPCをはじめとするエッジデバイスの調達から運用、廃棄、返却までのライフサイクル管理に加え、従業員からの問い合わせ対応やサポート業務も担っている。そのため、多くの時間や工数が日常的な運用業務に費やされている。

 その結果、本来はDX推進や業務改革、新たなIT活用といった戦略的な取り組みを担うべき情シスが日々の運用業務に追われ、事業成長に資するIT活用に十分なリソースを割けない状態に陥っている。こうした課題を解消する一つの手段として期待されているのがBPaaSだ。

担当者が休んだら業務が止まる「一人情シス」の属人化問題

 もう一つの大きな課題が、「一人情シス」における業務の属人化だ。少人数体制の企業では、エッジデバイスの運用管理に関する知識やノウハウ、業務手順が特定の担当者に集中しやすく、業務がブラックボックス化するリスクが高い。

 こうした状況では、担当者が退職や休職した際に運用管理業務が滞るだけでなく、後任者への引き継ぎも難しくなる。特に、運用ルールや業務フローが十分に文書化されておらず、担当者個人の経験や知識に依存している場合、安定した運用体制を維持することは容易ではない。

 こうしたリスクを低減するためには、業務プロセスの標準化と可視化を進めるとともに、担当者が変わっても継続的に運用できる仕組みを整備することが重要となる。BPaaSの中でも、エッジデバイス管理向けサービスは、業務プロセスの標準化や運用ノウハウの共有を支援することで、属人化の解消と運用の安定化に貢献する。

本当にやるべきセキュリティが後回しに

 もちろん、サイバーセキュリティ対策への対応も手を緩めることができない。近ごろ、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃はますます高度化しており、企業にはサーバやネットワーク、クライアントデバイスなど幅広い領域で継続的なセキュリティ対策が求められている。だが、一人情シスに代表される少人数体制の企業では、日常的なエッジデバイスの管理に多くの時間とリソースを割かざるを得ず、セキュリティ強化に十分取り組めていないケースもある。

 本来、情シスにはDX推進やセキュリティ、ITガバナンスの強化、システムの安定運用、事業継続性の確保といった重要な役割が求められる。だが、増加を続けるエッジデバイスの運用管理業務が負担となり、戦略的な業務に十分なリソースを振り向けられない状況が生じている。

 こうした課題に対応するため、これまでも情シスの負担軽減を目的とした管理ツールや運用サービスが提供されてきた。例えばDaaSのように、デバイスの調達から運用、廃棄までを包括的に提供するサービスも登場している。だが、その多くは数百台規模のデバイス管理を前提とした大企業向けの設計であり、中堅・中小企業にとっては導入費用や運用コストが大きな負担となる。また、導入に当たっては運用設計や責任分界点の整理、サービスレベルの調整など専門的な検討が必要となるため、必ずしも十分な費用対効果を得られるとは限らなかった。

 こうした背景から、エッジデバイスのライフサイクル管理に伴う情シスの負担を軽減しつつ、運用品質の向上とコスト最適化を両立する新たな選択肢として、BPaaSへの関心が高まっている。

エッジデバイス特化型BPaaSは他の類似サービスと何がどう違う?

 エッジデバイスの調達・運用領域には、提供範囲の異なる複数のサービスモデルが存在する。これらは、デバイス提供に特化したものから、運用・保守、さらには業務プロセス全体の代行へと、対応範囲の広がりに応じて段階的に発展している点に特徴がある。

 本章では、代表的なサービスとしてPCレンタルおよびリース、運用代行サービス、DaaSを取り上げ、それぞれの概要を整理した上で、BPaaSとの違いや位置付けについて解説する。

PCレンタルおよびリース

 多くのサービスでは1カ月単位の短期利用にも対応しており、プロジェクトの開始・終了や人員の増減に応じて、必要なデバイス台数を柔軟に調整することが可能だ。

 デバイスの故障や不具合が発生した場合には、サービス提供事業者が代替機の手配や交換対応を代行するため、業務への影響を最小限に抑えることができる。料金体系は、デバイスのスペックや契約期間に応じた月額課金方式が一般的であり、サービスによっては初期設定やキッティング、配送、回収などの費用が別途発生する場合もある。

運用代行サービス

 エッジデバイス管理に限らず、ITシステムの運用・保守業務の一部または全部を外部へ委託できるサービスは数多くある。これらのサービスでは、事前にサービス提供事業者と業務プロセスや運用ルールを整理し、対応範囲や受付時間、セキュリティ要件、SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)などを明確化した上で運用を開始するのが一般的だ。

 これにより、情シスは日常的な運用管理業務の多くを外部の専門人材に委ねられ、業務負荷の大幅な軽減が期待できる。その結果、限られた社内リソースをDX推進やIT戦略の立案、セキュリティ強化といった、より戦略性の高い業務へ振り向けやすくなる。

 一方で、サービス費用は委託範囲や求めるサービスレベルに応じて変動するため、必ずしも一律の料金体系で利用できるわけではない。特に、個別要件への対応や高度な運用支援を求める場合にはコストが増加する傾向があり、導入に当たっては費用対効果を十分に検証した上で、最適な委託範囲を設計することが重要となる。

DaaS(Device as a Service)

 多くのサービスでは、デバイス提供の他、PCのライフサイクル管理(LCM:Lifecycle Management)までを包括的に支援している。調達やキッティング、展開、運用・保守、回収、データ消去といった一連の業務をパッケージ化し、機器利用料に加えて運用・保守サービスを含む月額課金モデルとして提供されるケースが一般的だ。

BPaaSによるデバイスライフサイクル管理

 DaaSと類似したサービス形態ではあるものの、両者の大きな違いは、対象範囲がデバイスそのものにとどまらず、情シス業務全体へと拡張されている点にある。管理情報はサービス提供事業者のクラウド基盤でユーザー企業と共有され、デバイスの調達、故障・修理対応、ベンダーとの各種調整、配送、廃棄といった一連の業務を、情シスの介在を最小限に抑えながら運用できる仕組みとなっている。

 さらに、サービスによってはユーザーアカウント管理やSaaS利用状況の可視化、アカウントの追加・削除といった運用業務まで支援対象に含まれる。そのため、単なるデバイス管理の効率化だけでなく、情シス業務全体の負荷軽減や運用プロセスの標準化にも寄与する。

 一方で、提供される機能や業務範囲はベンダーごとに異なるため、導入に際しては自社が委託したい業務を明確化した上で、サービスの対応範囲や責任分界点を十分に確認することが重要となる。

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