5分で分かる最新キーワード解説
超高密度記録を生む「光スイッチング磁石」とは?(2/3 ページ)
キラル構造の光磁石で光波面の90度スイッチングに成功
物質の磁力をレーザー光で制御する研究には、もう1つの重要な目的があった。それは磁力の変化により、光のスイッチングが可能なのではないかという仮説の証明だ。もしも光のスイッチングが可能なら、それを利用した情報記録が可能になるかもしれない。
研究グループは、物質に光を入射したときに出射される、入射光の波長の半分の波長の光(第2高調波)に着目した。入射光が物質の表面近くで反射して出てくる第2高調波の状態が、物質の磁力が強いときと弱いときとで変わっていれば、光スイッチングが行われていることになる。
新しいキラル構造の物質での実験の結果、この予測が的中した。非磁石状態の物質に水平の入射光を入れると垂直な波面の第2高調波が観測された。それに青色レーザー光を当てて光磁石状態Iにすると、出射光の波面の角度が90度回転し、水平な波面の第2高調波が出射されたのだ。
さらに、その状態の物質に赤色レーザー光を当てて弱い磁力の光磁石状態IIにすると、出射光の波面は垂直に戻った。つまり、見事に光スイッチングが行えたわけだ(図3、図4)。この可逆的な光スイッチング現象も世界で初めての発見だ。
このような第2高調波の変化は、キラルな結晶構造の作用(結晶項)と、磁性スピンの状態による作用(磁性項)の2つが引き起こしているという。結晶構造の作用が主になれば第2高調波の波面が垂直になり、磁性スピンの作用が主になれば水平になる。キラル構造と光誘起スピンクロスオーバーの両方がこの現象を引き起こしているということだ。
なお、光の波面のスイッチングは通常の磁石のファラデー効果やカー効果などでも生じるが、波面の変化と同時に楕円率変化も生るため、このようなきれいに90度回転した波面は得られない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
5分でわかる最新キーワード解説
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
-
2
M365 Copilot全庁展開で月2000時間削減 現場がAIを「使いたくなる」習慣化の仕組み
-
3
かんぽ生命が営業報告を50分→10分に AI時代に見直すべき「データ入力」の仕組み
-
4
損保ジャパン、2万人の「Gemini活用」どう管理? 推進者が語る「リスク回避」の仕組み
-
5
Claude Codeに「仕事を丸投げ」して事故らないための基本運用ルール
-
6
6TBファイルのサーバ移行、M365ユーザーの八雲町がSharePointでなく「あえてBox」の理由
-
7
「カスハラ対応」を個人に任せない 取手市がAIで変えた窓口業務
-
8
「Claude」3倍高速化の裏で、Anthropic開発者が「あえてしなかったこと」:899th Lap
-
9
社員の「セキュリティ訓練」、他社はどの程度やっている? 気になる隣の実施状況
-
10
3億人分の情報漏えい事件から見えた、金銭では済まない代償とは
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー