IT導入完全ガイド
売り上げ拡大やコスト削減に効く、産業領域のIoTユースケース(2/3 ページ)
マーケティングや小売現場での顧客の動線分析
人間行動を追跡、記録できることもIoTの活用によって初めて可能になる。人感センサー、視線検知センサー、カメラ、ビーコン、POS情報などで、店舗内やショッピングモール内などで顧客を発見し、追跡して動線を記録することも技術的には難しくなくなっている。これまでとは比較にならない精度で動線分析などに生かし、天候情報などと組み合わせれば、購買傾向がより明確に把握できる。
しかしコストとプライバシー保護などの問題は考えなければならない。マーケティングに必要な情報の取得と引き換えに、情報取得を了承した顧客のみに付加価値の高いサービスを提供し、顧客に利益がもたらされるように運用を設計するのがお勧めだ。街角や施設内のデジタルサイネージを利用して情報取得したら、それと同時にクーポン発行やポイント付与、役立つ情報の提供などを行うようにすれば、分析用のデータ取得と店舗への集客の一挙両得になりそうだ。
なお、顔認証システムとの組み合わせによれば、お得意様やブラックリスト中の人物などを見分けることも可能になり、入店前に対応の用意をしたり、店内の安全確保を行うなどの行動もとれる。
生産現場の見える化
工場の内部のモニタリングはIoTの最も得意とするところだ。工場内の生産機器などからは常時稼働情報がとれるし、温湿度・照度・CO2濃度などの作業環境も把握できる。環境情報や生産管理情報を取り出して分析することにより、工場全体のパフォーマンスや環境の「見える化」ができる。ひいては視覚化された情報から経営指標(KPI)を抽出し、ダッシュボードなどの形で工場内の操業状況とビジネスとの相関が経営者など現場の人間以外にも容易に把握可能にできよう。
図3はあるメーカーの製造現場の生産情報、作業情報、稼働情報などをIoTデバイスによりセンシングし、その背景情報や説明情報とともに分析、KPIを画面上に分かりやすく整理して、経営層、現場管理者、作業員がそれぞれの立場で現場の状況を確認できるようにした実例だ。
この例では製造現場が可視化されて情報共有が進んだことにより、改善のための課題検知、分析作業は、約1週間かかっていたものが即日に完了するようになり、作業者が改善活動の効果を直接体感でき、作業意欲が向上する効果も見えたという。
ある工場では、ライン停止が30%削減する効果も生まれている。図4は、製造現場の可視化の一例だ。工程ごとの予定時間と実際との差分をとることで問題発生箇所が分かり、ライン作業者からの情報などと突き合わせて要因を特定することも容易になっている。
- 計画値と収集したデータの実績値の差分(時間)が見える
- センサーなどからの生データに、ライン作業者などの背景データをひも付けることで、因果関係を見いだす
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
IT導入完全ガイド
注目の技術やITツール。そもそもどういったモノで何に使えるのか、どんなモノを選ぶべきか、課題はあるか、といった情報を基礎から徹底解説します。
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
-
2
かんぽ生命が営業報告を50分→10分に AI時代に見直すべき「データ入力」の仕組み
-
3
M365 Copilot全庁展開で月2000時間削減 現場がAIを「使いたくなる」習慣化の仕組み
-
4
6TBファイルのサーバ移行、M365ユーザーの八雲町がSharePointでなく「あえてBox」の理由
-
5
Claude Codeに「仕事を丸投げ」して事故らないための基本運用ルール
-
6
損保ジャパン、2万人の「Gemini活用」どう管理? 推進者が語る「リスク回避」の仕組み
-
7
「カスハラ対応」を個人に任せない 取手市がAIで変えた窓口業務
-
8
「Claude」3倍高速化の裏で、Anthropic開発者が「あえてしなかったこと」:899th Lap
-
9
社員の「セキュリティ訓練」、他社はどの程度やっている? 気になる隣の実施状況
-
10
20年物の基幹システム刷新に、マクロミルがあえて「全てを変えない」と決めた理由
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー