【BI導入事例】2倍の受注に「2倍働く」以外の答えを作る――名古屋のものづくり企業が選んだ方法を取材した(1/3 ページ)
製造工程が「ぶっ通しで20時間」もかかるエンジンを取り扱う三菱重工航空エンジン。受注が増える中でサプライヤー管理や品質管理、需要管理の工程を効率化した。IoTなどの未来志向の技術を、現場の効率化に還元する。何にどう効果があったのか。
今の倍にならなければ20年後納品分を「落とす」、デジタル経営基盤で生産性向上が急務
三菱重工航空エンジンは、三菱重工グループが持つ、防衛宇宙、民間機/パワードメイン/インダストリー、社会基盤の3つのセグメントのうち、パワードメインに属しており、セグメント全体の5%を担う。同社はエンジン部品をGEやロールスロイスといった主要航空機メーカーに供給しており、B747、A380のような大型機向けだけでなくMRJのようなリージョナルジェット機やヘリコプター向けの部品も供給する。
同社は、製造工程が大きく異なる製品を取り扱う。1つはタービンエンジン製造に関わる工程だ。タービンエンジンの月産は30個程度。製造工程を細かく分解すると、タービンモジュールや燃焼機、燃焼機ケース、燃焼機パネルなどに分解できる。それぞれの工程が長いことが特徴で、20時間連続して製造する必要があるものもある。効率よく製造を行うには各工程の進捗(しんちょく)や調達状況を細かく把握して調整を行う必要があるだろう。
一方で、このタービンエンジンに搭載するタービンブレードの製造工程に関して見れば、月産1万3000枚にも上る(1機当りの搭載量が多いため)。品目は少ないが大量に製造するパターンだ。
航空機エンジン部門は過去8年間、継続して5%成長を続けている。航空機そのものの受注状況が好調だからだ。MRJをはじめとするリージョナルジェットの他、エアバスやボーイングといった航空機メーカーなどからの既存の注文をベースに算定すると、今後20年間の市場規模拡大が予想されている。同社の見込みは「20年後には現在の2倍の機体が運航」する計算だ。この需要に対応するには、生産量を現在の2倍にする必要がある。
こうした背景から同社は三菱重工グループ全体の中で、スマートファクトリーのモデル工場になるべく活動している。もちろんIoT導入にも積極的で、サプライチェーン管理の高度化と同時にスマートファクトリー化を推進し、生産性を高める計画だ。同社が目指す「デジタル経営基盤」の全体像は次の通りだ。
前月の資料で会議して翌月の方針決定
「IoTを導入してスマートファクトリー化」といっても、その成果や手法、目的は企業ごとに異なる。同社の場合は、まず「定量評価できる状況を作り、見える化を促進。変化に即応できる体質を作る」=自社の健康状態をチェックできる、という状況を作ることが目的だ。
IoT化以前の同社は多くの企業に共通する課題を抱えていた。例えば、同社の経営判断サイクルは月次だった。前月の状況を翌月中旬に議論し、翌月の施策に反映するが、昨今の事業運営環境では判断と実行までにかかる時間が長くなりやすい。判断が遅れればその分、財務リスクも大きくなり、経営への影響も大きくなる。
三菱重工航空エンジン 経営管理部IT 戦略グループ、グループ長の吉野一広氏は「『見える化を行って迅速にアクションを取り、アクションの結果をすぐに見る』という状態を目指した活動を推進してきた」と、その目的を説明する。
今回は同社の見える化と判断迅速化のための業務改革の一部としてセルフサービス型のモダンなBIがもたらした成果を紹介する。
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