皆がSaaSを使う領域、SaaSを使わない理由(2/2 ページ)
SaaS利用は501~1000人規模でやや高いが、社内Webアプリの割合が勝る
アンケートでは、始めに現在の業務システムの形態を聞いた。
従業員数501人以上の規模の企業では「Webアプリケーション型の社内システムの利用」を選択した回答者が全体(53.1%)よりも平均して14.7ポイント高い67.8%だった。従業員数100人以下のグループは全体より平均して24.1ポイント低い結果となった。
「社外のクラウドサービス(SaaS版アプリケーション)を利用している」とした回答が最も多くなったのは、従業員数501~1000人のグループで、全体が34.7%なのに対して41.0%と、6.3ポイント高くなった。
なお、従業員数101~500人、501~100人の企業ではクライアント/サーバ型の業務システムを利用するとした回答者が全体(47.6%)よりもそれぞれ、7.0ポイント多い54.6%、8.8ポイント多い56.4%だった。
またSaaS型業務アプリの利用は従業員数501~1000人で最も割合が高く41.0%と、全体(34.7%)と比べると6.3ポイント高かった。ただし同じ回答グループで最も利用が多いのは「Webアプリ型社内システム」(66.0%)で、SaaS型業務アプリの利用率と比べると25ポイント高い結果となった。
利用するSaaSアプリは「グループウェア」「電子メール」「勤怠管理」など
そこでSaaS型業務アプリケーションを利用中もしくは今後利用予定とした回答者にどの業務にSaaSアプリケーションを適用している(適用しようとしている)かを尋ねた。
「グループウェア」が48.9%と最も高く、「電子メールシステム」(40.7%)、「勤怠管理システム」(32.7%)、「営業業務支援、SFA」(31.3%)、「顧客接点管理、CRM」(23.2%)と続いた。財務会計や人事などよりも、単独で導入しやすい領域で利用が進んでいることが分かる。
SaaSの利用は限定的、オンプレミス、内製化を重視する声も
次にSaaSを利用する予定がないと回答したグループにその理由を尋ねた。回答を従業員数で分類すると、100人以下の企業では「企業規模とコストが見合わない」とするコメントが多数を占めた。シンプルな運用であればSaaSを使うまでもなく運用できるとする意見が多く、月額課金型が多いサービスでは支出が負担になるとした意見も多く挙がった。
従業員数100~500人では、情報保護を目的に現在SaaSで利用している業務システムをオンプレミスに戻す計画がある、とした回答が目に付いた。また、基幹業務システムは稼働目標が100%に設定されているため、SLAがそれ以下のSaaSは選択肢にならないとする意見もあった。また、内製化を基本方針とするためSaaSは使わないとする意見もあった。SaaSは「カスタマイズできない分を内製ツールで新たにカバーする必要があり、運営が煩雑になる」という逆説的な課題を挙げる声もあった。
従業員数501~1000人のグループでは、自社ないし所属企業グループのセキュリティポリシーに合致しないため利用しない、あるいは企業グループでシステムを統合しているため、外部のサービスを利用できない、とする意見が散見された。また、カスタマイズできないものはそもそも利用できない、という意見が多かったのもこのグループだ。
1001~3000人のグループでは自前で情報システム部門を持つ企業が多いためか「オンプレミスで自社運用できることを重視する」という意見が挙がった。さらに従業員数3000人以上の企業では自社内でプライベートクラウドを構築しており、外部のサービスを利用する意義は高くないようだ。
SaaSの普及は限定的? 業務システムとの連携が求められる
今回の調査では、SaaS型業務アプリの利用が進むのは中小規模企業が中心であり、それ以上の規模ではむしろ内製化やカスタマイズ性を重視する意見が根強いことも明らかになった。また、業務アプリケーションにおいてはSaaSの利用が限定的であり、一部の「切り出し」可能な領域に限定した利用が進む状況が見えた。
主に中堅以上の企業の意見として挙がった「SaaSを採用しない理由」(業務アプリケーションの内製化やグループ内共通基盤への移行など)を考慮すると、今後は他の内製業務アプリケーションと連携したり、オンプレミスとのハイブリッド型で透過的に運用できるSaaSへのニーズが高まる可能性があると考えられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
7つのITトピックス 2019
2019年のIT戦略を占う。注目のテーマ別にキーマンズネット会員1541人を対象にT投資意向や課題を調査した。何を課題に、どんな対策を検討しているかを浮き彫りにする。
関連記事
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
C言語は「危険」と言われても、専門家が「使う価値は十分にある」と言うワケ:900th Lap
-
2
M365 Copilot全庁展開で月2000時間削減 現場がAIを「使いたくなる」習慣化の仕組み
-
3
かんぽ生命が営業報告を50分→10分に AI時代に見直すべき「データ入力」の仕組み
-
4
損保ジャパン、2万人の「Gemini活用」どう管理? 推進者が語る「リスク回避」の仕組み
-
5
Claude Codeに「仕事を丸投げ」して事故らないための基本運用ルール
-
6
6TBファイルのサーバ移行、M365ユーザーの八雲町がSharePointでなく「あえてBox」の理由
-
7
「カスハラ対応」を個人に任せない 取手市がAIで変えた窓口業務
-
8
「Claude」3倍高速化の裏で、Anthropic開発者が「あえてしなかったこと」:899th Lap
-
9
社員の「セキュリティ訓練」、他社はどの程度やっている? 気になる隣の実施状況
-
10
3億人分の情報漏えい事件から見えた、金銭では済まない代償とは
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー