「Windows Virtual Desktop」とは? Horizon Cloud on Azureと何が違う? クラウドVDIの選び方ガイド(2/2 ページ)
Windows Virtual Desktop利用にかかる費用はどのくらいか
図1の管理プレーン機能はWindowsライセンスに標準で含まれるため追加コストは発生しない。ただし、仮想マシンやネットワーク、ストレージなどのAzureリソースの利用料金は実費が発生する。リソース利用料金は1分単位の従量課金であるため、クライアントが起動しなければ発生しない。この他にもコスト削減につながるサービス体系が整備されている。以降でそれぞれを見ていこう。
ムダを切る自動シャットダウン機能
WVDおよびHorizon Cloud on Azureは、セッション状態を管理しており、使われていなければ自動でシャットダウンできる。この点、事前に設定したスケジュールでシャットダウンするAmazon Workspacesよりもコスト削減しやすいだろう。
解約コストの負荷が小さく、扱いやすいリソース予約サービス
Azureの場合は、他にも1年または3年分を一括で前払いする「Azure Reserved VM Instances」(RIs)も使える。こちらは一般的な仮想マシンの稼働時間に対する従量課金よりも安価にリソースを確保できる。
こうした前払い方式はAWSなど他のIaaSやPaaSにもあるが、余分なリソースをキャンセルする際のコストが負担になる場合がある。このためリソース予約にはサイジングや予測を厳密に行うスキルが必要とされる。この点、Azureは利用途中でいつでも手数料だけでキャンセルできるため、比較的少ないリスクでリソースを確保できる。
仮想マシン性能やストレージ性能、GPU採用の有無で費用が変わる
Azureの汎用(はんよう)仮想マシンは「シリーズ」を選ぶと常にそのシリーズ内で最新のものが使える。バージョンアップに伴う作業はほとんどなく、再起動するだけで最新の仮想マシンを利用できる。PCスペックが陳腐化するストレスがなく、リプレースの労力も不要だ。CADなど処理負荷の高い業務向けに「NVIDIA Tesla M60」などのGPUを搭載した仮想マシンも用意されている。仮想デスクトップで利用するストレージは安価なHDDと、I/O性能や応答遅延の品質が異なる3タイプのSSDから選択でき、いつでも変換が可能だ。ストレージ速度が問題になったら速いSSDに切り替えればよい。
Horizon Cloud on Azure、Citrix Cloud、Amazon Workspacesと何が違う?
Azure上でクラウドVDIを利用したい場合、今後はWVDか、Horizon Cloud on Azureか、Citrix Cloud かの選択に迷うケースが多くなりそうだ。またAWSでもよい場合は先行するAmazon Workspacesも検討対象になるだろう。
ここからはサービスの特長を整理しながら、適切なサービスを選ぶための比較ポイントを挙げてみる。
管理性が優れているのはどれか
どのサービスでも管理者が管理ツールで運用管理できるところは違いがない。日々の運用で仮想マシンのデプロイを行うときのGUIには違いがあり、Amazon Workspacesも簡単なGUIであるが、Horizon Cloud on Azureでは日本語化された簡単なGUIが使える。Citrix CloudのGUIは一部日本語化されているが、設定が多階層にわたるためやや複雑だ。WVDは現在のところPowerShellのみのCUIなので、現時点では管理性がよいとはいえない。ただし将来的にはおそらくGUI化されるだろう。
また管理サーバーのデプロイおよびアップデートもどこまで簡単にできるかもチェックしておきたい。例えば Horizon Cloud on Azureでは管理サーバーのデプロイは完全自動Citrix Cloudは手動デプロイで、Windows Updateの適用もその後行う必要がある。
認証機能で違いはあるか
WVDと比較してHorizon Cloud on Azureは日本リージョンを利用できるため、レスポンスがよいと考えられる。なおCitrix Cloudの場合は、米国東部リージョンのゲートウェイを通るため比較的遅延が大きくなる可能性がある。
ネットワーク対応は?
仮想マシンへのアクセスには、インターネット、VPN、専用線が利用される。Horizon Cloud on AzureとCitrix Cloudは全てに対応、Amazon Workspacesはインターネットのみ、WVDは今のところインターネットのみだが将来的にVPNに対応する可能性がある。
ライセンス形態の違いは?
ツールのライセンス購入が必要な場合、購入ライセンス数には注意したい。少ないライセンス数で済むほど、小規模での運用が有利になる。Citrix Cloudは25ライセンスから、Horizon Cloud on Azureは50ライセンスからだ。ただし、Horizon Cloud on Azureでは同時接続ユーザー数分(ユーザー数分ではなく)のライセンス購入(CCU)も可能だ。うまく運用すれば100ライセンスで1000人が使うことも可能になる。交代勤務や変則的なテレワークなどを行う場合だと同時接続ライセンスの方が費用を節約しやすい。
Windows 10対応は
現段階でWinows 10マルチセッションに対応するのはWVDのみだが、シングルセッションは他のサービスもサポートしている。Windows Server OSはどのサービスも対応している。WVDはWindows7を3年間延命して使えるところが特長だ。一方Amazon WrokspacesもBYOL(既存ライセンスの持ち込み)オプションを利用してAWSクラウド内の占有ハードウェアに保有しているWindows OSを持ち込んで稼働させることもできるが、こちらは一定の規模が条件となっている。
Office 365最適化
Office 365を利用する場合、マイクロソフトのデータセンター間の高速バックボーンが使用されるため、通信速度が速くなる可能性がある。
この利点に加え、Microsoftが2018年に買収したFSlogixの技術を起源に持つ「Office 365 ProPlus」を最適化できることも注目したい。
OutlookのOSTファイルやOneDriveキャッシュ、Windows検索DBなどのキャッシュデータの利用や、プロファイル管理機能でログオンやアプリケーション起動時間が劇的に改善するという。
結局、どれを選ぶのが最適なのか?
WVDリリースを待っている時間がない場合は、当然他のクラウドVDIサービスを導入することになるが、少人数で利用する場合には、どのサービスでもコスト面ではそう大きな違いがない。上述したようなライセンス形態を考えて運用面で工夫するとコストは抑えられるので、運用設計を含め検討するとよいだろう。
また各種のオプションの品ぞろえは各ベンダーで異なる。品ぞろえが多い方が良いというわけではないので、自社に必要なオプション、使いたいオプションがあるかどうかを個別に調べることをお薦めする。
WVDの全貌はまだ見えていないし、北米リージョンにある管理プレーンを利用するパブリックプレビューではレスポンスの評価も限定的にしかできない。日本リージョンでのサービス開始や、GUIによる管理性の向上、アプリケーション稼働のさらなる最適化など、WVDに期待されることは多いが、理想的な姿になるまでには時間が必要だろう。クラウドVDIは規模拡大も縮退も簡単で、サービスを乗り換えることも、PC入れ替えに比べれば容易な場合が多いはず。ひとまずは他のサービスを導入し、WVDが安定して実績を上げてきたところで移行検討してもよいかもしれない。
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