「管理職多すぎ問題」解消したらどんな組織ができるか
「No上司」「No部署」をやってみた会社の話(2/2 ページ)
バリフラットモデルの運営のために社内SNS「Goalous」を開発
なおISAOでは、こうして社内に蓄積したバリフラットモデルのノウハウを、コミュニケーション型目標達成ツール「Goalous」として顧客に提供している。Goalousはもともと、同社がバリフラットモデルを社内で円滑に運営できるよう独自開発したSNSツールで、後にそれを社外の顧客にも提供できるようサービス化したもの。
「もともとは、社内で情報をオープンにするために一般的なSNSツールを使っていたのですが、トップダウンでの情報発信はできても、現場で個々人が何を目的にどんな活動を日々行っていて、具体的にどんな成果を上げたかといった情報は、うまく整理した形で可視化・共有できませんでした。そこで、バリフラットに適したSNSを一から自社開発することにしました」
GoalousのインタフェースはFacebookなどの一般的なSNSに似ていて、ユーザーは日々の業務での活動を写真とコメントで投稿する。他のユーザーは、その投稿に対してコメントや「いいね!」を付けていく。一見するとごく普通の社内SNS製品だが、同製品が一般的なSNSと大きく異なるのが、個々の投稿がバリフラットモデルの制度と密接に連携していることだ。
目標管理制度「GKA」
バリフラットモデルでは、「GKA」と呼ばれる目標管理制度を取り入れている。これは、グーグルやFacebookなどが採用する「OKR」(Objectives and Key Results)という目標管理制度に、ISAOが独自のメソッドを加えたもので、「ゴール(Goal)」「キーリザルト(Key Result)」「アクション(Action)」という3つの要素で社員の目標管理を行うというもの。GKAの詳細は次の通りだ。
まず大きな業務目標をゴールとして定め、その達成のために必要な個々の取り組みをキーリザルトとして定義する。例えばゴールとして「今期売り上げ目標」を定めたとしたら、それにひも付くキーリザルトとして「新規顧客獲得数」「解約率の減少」といった個別の活動を挙げるといった具合だ。この場合、キーリザルトには必ず「数値化可能」なものを挙げ、数値で客観的に評価できるようにする。
個人のゴールを作成することはもちろん、チームの目標を自身の目標として設定できる「コラボレーション」という機能を使うこともできる。各ユーザーはまず自身のゴールと、それにひも付くキーリザルトを定義し、それらをGoalousに登録する。その上で、日々行る業務内容を「アクション」として写真とテキストで投稿する。
アクションを投稿する際は、それがどのゴールとキーリザルトに対応するものなのかを指定し、同時にキーリザルトの数値(達成度)も設定できる。こうして、各ユーザーが自身のゴールとキーリザルトの達成に向けて日々どのような活動を行い、その結果どれだけの達成率に至っているのかが、Goalous上で全社員に対してオープンになるというわけだ。
Goalousを導入する目的は各社各様
Goalousは、先ほど説明したバリフラットモデルの評価制度をサポートする機能も備えている。
Goalous上で評価者を複数人選択することができ、各評価者からの結果を受け取ることができる。また、評価入力時は、過去のアクションを見ながら編集することができるので、直近の印象に左右されることなく評価できる。
こうして、SNSツールを通じてあらゆる情報を全ての社員に対してオープンにすることが、バリフラットモデルを運営する上で最も重要なポイントだという。ただし、これまでオーソドックスなピラミッド型組織を長らく運営してきた企業が、ある日Goalousを導入したからといって、一気にバリフラットモデルのようなフラットな組織形態を実現できるわけではない。そこではやはり、ある程度の「助走期間」が必要だという。
「いわゆる『心理的安全性』を担保しなければ初めのうちはなかなか全ての情報をオープンにし難いはずです。そこでまずは1、2カ月程度の導入準備期間を設けて、極めて単純なゴールを設定した上でそれに関連するアクションの投稿を募ってみるのがお勧めです。この間は、とにかくユーザーの心理的障壁を取り払ってもらうために、『内容は何でもいいから気軽に投稿してみよう』という方針を徹底します。その際には、上層部が自ら『いいね!』やポジティブなコメントをどんどん付けて、率先して盛り上げていくことが大事です」(湯川氏)
なお、Goalousを実際に導入する企業の目的はさまざまで、ISAOのバリフラットモデルに感化されて導入する企業はもちろんのこと、前出のOKR制度を運用するための仕組みとして導入を検討する企業もあるという。また、社内の人事評価制度の透明性を上げるために導入するケースや、異なる部署間のコラボレーションを促進するために互いの日々の仕事内容を共有する目的で導入を検討する企業もある。
ISAOでは、実際にGoalousを使ってバリフラットモデルの運用を始めたことで、社内の意思決定スピードが目に見えて早くなったという。また各社員が、自身が参加するプロジェクトだけでなく、ほかのプロジェクトの仕事ぶりもGoalousを通じて知ることができるようになったことで、会社全体の経営やビジネスのことを「自分ゴト」として捉えられるようになった。
「他の企業も、Goalousを導入することで同様の効果が期待できるはずです。ちなみにGoalousは当初、弊社内での利用を前提として開発されたため、100~300人程度の規模での利用に最も適しています。しかし最近は大企業のお客さまからの引き合いも増えているので、今後はユーザーをグループごとにわけて管理できる機能など、大企業での利用に役立つ機能を強化していきたいと考えています」(湯川氏)
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