AI翻訳はどこまで実務で使えるか 「100種類超の文書を2カ月で翻訳」を迫られた神戸製鋼の実例(3/3 ページ)
緊急連絡メールは「逆翻訳」で厳重にチェック
COTOHA Translatorの正式採用を決めた神戸製鋼は、技術者の受け入れに合わせて作業を急ぎ、実質1カ月ほどで本番導入を終えられた。
COTOHA Translatorの機能のうち、現場で重宝されたのが「ファイル翻訳」だった。Microsoft OfficeドキュメントやPDFなどのファイルをCOTOHA Translatorにドラッグ&ドロップするだけで、ファイルを丸ごと翻訳できる。以前は翻訳サイトを利用するにしても全文翻訳は時間がかかるため、翻訳対象を絞り必要な箇所を抜き出していたが、COTOHA Translatorならドキュメントのファイルをドラッグ&ドロップするだけで数分で全文翻訳できるため、大幅な時短につながった。
全社同報メールや総務部門からのお知らせ、緊急連絡の翻訳には「逆翻訳」機能が役立った。メールで送られる情報の中には、悪天候時の出社判断など、重要な内容を含むものもある。欧州の技術者にもその内容が正確に伝わらなければ、大変な事態を引き起こす可能性もある。送信する内容に間違いがあってはならないため、英訳した文章を日本語に翻訳し直し、正しく翻訳されているかどうかをチェックした後で、送信するフローにしている。
日常業務でやりとりされるメールは、翻訳を必要とする技術者が自らCOTOHA Translatorを使って英語の文面に翻訳している。翻訳を必要とする技術者が自ら英文でメールを送る必要もない。
「業務文書の翻訳やメールコミュニケーションはスムーズになりました。しかし、会話や口頭での議論は、言葉の壁を感じる場合もあります。今後は、日本語を母語としない技術者に疎外感を与えることなく、積極的に議論に参加できるように、リアルタイム翻訳ソリューションの導入も検討したいと考えています」と今後について長峯氏は話す。
社内のさまざまな部門の多様な業務に自動翻訳サービスの利用が広がる
現在、COTOHA Translatorの利用範囲は広がっている。管理部門では、海外の提携企業と契約を交わす際、COTOHA Translatorを利用して契約内容をチェックしている。従来は目視で重要部分を抜き出し、翻訳業者や翻訳サイトを使って対応していた。今は、ファイルをそのままCOTOHA Translatorに投入するだけで自動的に全文翻訳できるようになり、チェック作業を大幅に効率化できた。全体を隅々まで確認できるようになり、確認精度の向上にもつながったという。
神戸製鋼は海外に取引先が多く、設計や開発の部署では、各種文書の翻訳に多くの工数を割いていたが、COTOHA Translatorにより翻訳作業に割いていた時間や翻訳業者への発注コストを削減できるだろうと考える。
「全て人手で対応していれば、日本語でのコミュニケーション経験がない技術者の受け入れもこんなにスムーズには運ばなかったはずです。通訳者の採用や翻訳業者に外注するにしても、相応のコストは必要になったでしょう。日常のメール対応にも四苦八苦し、多くの時間を翻訳に費やすこととなったと思います。社内からは『中国などの海外拠点でも使えるのでは』という他拠点への展開要望が寄せられています」(長峯氏)
今回の事例を機に、COTOHA Translatorの活用範囲のさらなる拡大計画があるという。
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