できる人ほど教える時間がない AIは暗黙知の夢を見るか

仕事ができる人ほど、教える時間がない。ベテランが無意識にこなす判断や段取りは、言葉にされないまま特定の個人にとどまる。この暗黙知を、AIは組織の資産に変えられるのか。CTCが導入企業で示したのは、AIツールを足すのとは別の答えだった。

 システム開発・運用の現場では、専門的な知見を持つ人材ほど仕事が集まりやすい。だが、できる人ほど日々の対応に追われ、その知見をドキュメントやOJT(On-the-Job Training)で後進に渡す時間を確保できない。結果として負荷は一部のメンバーに偏り、対応のスピードと品質が特定の個人に依存する。ITツールを一つ増やたとしても、現場運用の「ラストワンマイル」に残るこの属人化は崩れない。

 この壁を崩すには、作業の過程に埋もれた知見を記録し、誰もが再利用できる形に変える必要がある。その方法を、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の田中久智氏(StageCrew Co-Creator & Product Manager)が、同社のプラットフォーム「StageCrew」を軸に語った。

 導入企業では、初動対応や原因特定・問題解決に要する時間が大きく変わったという。ただし、数値を生んだのはAIの導入そのものではない。現場の何を記録し、どう運用へ戻したのか。

「マニュアルを作ったら終わり」を超える知見運用へ

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