セキュリティ対策ゼロでSaaS導入? 役員もドン引きした「ヤバすぎる稟議」
企業への取材においては、担当者が別の用事で同席できず、詳しい話がきけない場合もある。先日の取材でも担当者不在となってしまったが、それはただ担当者が忙しいだけではない、驚愕の理由があった。
企業への取材では、システムの検討プロセスや導入、運用の状況を聞く機会が多い。そのため、取材には運用担当者が同席するケースが圧倒的に多い。ところが、先日の取材では、対応いただいたのは役員の方だけだった。
こうしたケースでは、「システムのことはあまり詳しくないので」と話が進みにくくなることも少なくない。今回も少し嫌な予感がしたものの、それは取り越し苦労に終わった。
もっとも、その理由は、単にその役員の方がITに詳しかったから、というだけではない。システムそのものの知識にとどまらず、その導入に至った背景や検討のプロセス、さらには現場での運用までを的確に捉えておられたからだ。
セキュリティ担当者の稟議に役員があぜん……
お盆前の暑い日、取材のため金沢へ向かった。今回のテーマは、セキュリティ関連の取材で取り上げる機会も多い「仮想ブラウザ」だ。
仮想ブラウザとは、サーバや隔離されたコンテナでWebブラウザを実行し、その画面情報だけを手元の端末に転送して閲覧する技術だ。Webサイトに仕込まれたマルウェアなどによる感染を防ぐことができ、セキュアなIT環境の構築に大きく貢献する。
同社では以前から、社内の業務端末とインターネット接続用のネットワークを物理的に分離し、高いセキュリティレベルを維持していた。ところが、クラウド活用が広がるなか、現場から「自席の端末からさまざまなSaaSを利用したい」という声が相次ぐようになる。これを受け、急きょSaaS導入プロジェクトが立ち上がったという。
ところが、SaaS導入の稟議(りんぎ)に目を通した役員は、思わず驚いたという。これまで高いセキュリティレベルを維持してきた同社とは、あまりに懸け離れた構成だったからだ。いったい、何が問題だったのか。
役員は当時を振り返り、こう話す。
「SaaS自体に興味があったわけではありません。ただ、システム担当役員として稟議に目を通したときには驚きました。SaaSへの接続に向けて、セキュリティ対策が何も考慮されていない構成だったんですから」
つまり、それまで業務端末はインターネットに接続できない環境に置かれていたため、外部からの脅威への対策はほとんど必要とされていなかった。ところが、SaaSを利用するとなれば話は別だ。いわば、これまで閉じた環境にあった端末を、十分な備えもないままインターネットにさらそうとしていたのである。
驚いた役員は稟議を却下し、マルウェア対策としてWebブラウザでのアクセスに関する無害化処理が可能な仮想ブラウザの導入を即決した。幾つかの方式で検討を重ね、自席で安全を確保しながらSaaS利用が可能な環境整備に成功したという。なるほど、だから担当者が出てこなかったわけか。
その後、担当者がどのような末路をたどったのかは定かではない。ただ、役員のもとに稟議が上がってくるまで、誰もその危うさに気付かなかったことについては、「情けない」と役員は嘆く。
結果的に、同社のセキュリティを最後に守ったのは、システム担当役員自身だった。技術的な防御策だけでなく、危険な構成を見抜く人間の目こそが最後の防御壁になる。まさに「人間ファイアウォール」だ。
北陸観光は金沢一人勝ちらしい
私が金沢駅に降り立つったのはしばらくぶりのことだった。現地ではやはり海外観光客の方が目立つ。兼六園や金沢21世紀美術館など観光スポットが多く、海の幸をはじめとしたグルメの名産も数多い。海外の方からすれば、日本観光の大きな都市の1つに金沢が含まれているのだろう。
しかし、帰路に際して、観光客が多い金沢の印象を北陸全体をカバーするベンダーの営業に聞いたところ「北陸に観光客が来るのは金沢だけですよ」とのこと。私が子どもと訪れた福井の恐竜博物館や、風光明媚(めいび)な自然が満喫できる富山には立山黒部アルペンルートもあるのでは、と食い下がったものの、「恐竜博物館は福井の駅から遠いし、アルペンルートもシーズン次第。結局金沢の一人勝ちですよ」とにべもない返事。そんなものか。
結局、金沢発祥のご当地カレーである金沢カレーのメジャーどころ「ゴーゴーカレー」で腹を満たし、北陸を後にしたのだった。
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