製造業が集まる愛知、中小企業のセキュリティ教育をどう強化? サイバー対策を支援へ
製造業が集積する愛知県では、中小企業のサイバー対策がサプライチェーン全体の課題となっている。一方、専任担当者や予算の不足から、従業員への継続的なセキュリティ教育は容易ではない。
サイバー攻撃への備えが、中小企業にとって自社を守るための対策だけでは済まない課題になっている。大手企業では取引先を含むサプライチェーン全体のセキュリティ対策を確認する動きが広がり、対策が不十分な企業は取引先から改善を求められるケースもある。特に製造業が集積する愛知県では、中小企業のセキュリティ対策が事業継続だけでなく、取引関係を維持する上でも重要になっている。
一方で、中小企業では専任のセキュリティ担当者や十分な予算の確保に苦戦する企業もある。日々変化する攻撃手法を従業員が継続的に学ぶ機会を設けることも難しく、何から対策すればよいのか分からない、担当者だけでは教育まで手が回らないと企業は頭を抱えている。
愛知の中小企業を、セキュリティ教育でどう守る?
ランサムウェアやサプライチェーン攻撃に加え、従業員をだまして認証情報を盗むなど、人の判断を狙った攻撃も横行している。セキュリティ製品を導入するだけでなく、従業員一人一人が不審なメールやWebサイトを見分け、問題が起きた際に適切に対応できる能力が求められている。
こうした中小企業のセキュリティ教育を支援する取り組みとして、セキュリティ研修サービスを提供するLRMは2026年9月25日、愛知県内の中小企業を対象に、セキュリティ教育プログラム「月次セミナー」と「個別出張研修」の参加企業の募集を開始した。愛知県から委託を受けた「サイバーセキュリティ対策支援事業」の一環で、両プログラムを無料で提供する。
月次セミナーは、担当者が継続的にセキュリティに関する知識を身に付けるためのオンライン講座だ。名称は「中小企業のためのセキュリティ対策セミナー」で、「Zoom Meetings」を利用して毎月1回開催する。対象は愛知県内の中小企業のセキュリティ担当者、情報管理責任者、システム・IT担当者などだ。
毎月異なるテーマを設定し、ランサムウェアやサプライチェーン攻撃の最新動向、中小企業でも実践できる情報セキュリティ対策などを紹介する。専門用語はできるだけかみ砕いて説明し、セキュリティに詳しくない担当者でも理解しやすい内容とする。単発の情報収集ではなく、継続的に最新の脅威や対策を学べる機会を提供する。
もう一つの「中小企業のための出張セキュリティ研修」は、従業員向けの教育を支援する。セキュリティの専門家が企業を直接訪問し、怪しいメールの見分け方や、問題が起きた際の初動対応などを実例を交えて説明する。従業員一人一人が日常業務で判断できるよう、実践的な内容を扱う。
研修教材は難易度別に3種類を用意し、受講する従業員や企業の状況に応じて選択できる。研修資料の準備から当日の登壇までLRMの講師が担当するため、企業側の準備負担を抑えながら従業員教育に取り組めるとしている。
対象は愛知県内に本社または営業所を持ち、セキュリティ教育に意欲のある中小企業だ。募集は毎月2社で、申し込みが多い場合は先着順となる。両プログラムとも参加費は無料で、LRMの愛知県事業サイトから申し込める。
愛知県は、自動車関連をはじめとする製造業が集積する地域でもある。サプライチェーンを狙った攻撃では、取引先の中小企業が侵入口となり、企業単体だけでなくサプライチェーン全体の事業継続に影響する可能性がある。セキュリティ教育は情報システム部門だけの課題ではなく、今後、従業員を含めた組織全体でどう取り組むかがより問われるだろう。
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