2010年度、プラス推移となった「アイデンティティー管理ツール」市場。その理由とは? シェア情報を紹介する。
富士キメラ総研の調べによれば、2010年度のアイデンティティー管理ツール市場は、数量(導入社数)が261社、金額がライセンス料とサポート料を合わせた合計で38億2000万円であった。そのほとんどがパッケージで、アプライアンスとクラウドは僅少である。
2010年度は、2005年前後に導入した大企業でのリプレース需要の獲得や追加導入により、市場もプラスで推移した。中堅企業向けでは新規需要が活発化している。公共分野では、大学に加え校務情報化の進展で教育委員会向け需要も増加している。
2010年度の市場占有率を見ると、数量ベースで1位のベンダーは29.9%であった。これまでは文教市場が主体であったが、一般企業の万単位のID管理を要求されるシステムでも採用され始めており、案件の規模が大きくなってきている。金額ベースでは、1位のベンダーは20.4%を獲得した。同社など大規模企業をターゲットとしたベンダーは既存ユーザーの保守や機能拡張案件をベースに安定的な売り上げを上げている。
大規模な企業グループでプライベートクラウドによるシステム統合が進んだ場合、セキュリティ基盤となるID管理の統合化といった広範囲なリプレースに発展する可能性が考えられる。また中堅企業がクラウドアプリケーションを利用するためのアクセス管理基盤としてID管理を構築することも増加すると考えられ、クラウド市場の成長との相乗効果に期待がかかる。
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