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最新製品を徹底解説、スマートフォン特集IT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2014年06月23日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]

LTEへ移行したスマートフォン

 各キャリアの端末とも、通信方式は完全にLTEへと移行した。また、2012年に総務省によって700MHz帯と900MHz帯の電波が再割り当てされる。

 その結果、700MHz帯はNTTドコモ、KDDI(au)、イー・アクセスの3社に、900MHz帯はソフトバンクモバイルに割り当てられることとなった。各キャリアとも2014年末から2015年はじめにかけて700MHz帯でのLTE提供を開始する予定だ。ソフトバンクモバイルも、2014年夏に900MHz帯でのLTE提供を開始すると発表している。

 従来、LTEを利用して通信している場合でも、音声通話をする場合には3G回線に切り替わってから通話してきた。NTTドコモがサービスを開始する「VoLTE(ボルテ)」は、対応端末であればLTE通信環境そのままで音声通話が可能となる。通話の音質も向上し、ビデオ通話が容易になるなどのメリットもある。

 auは、2つの周波数帯(800MHz帯と2GHz帯)の電波をまとめることで高速なデータ通信を可能とする「キャリアアグリケーション」の提供を開始し、より快適にスマートフォンを利用できる環境作りをすすめる。現時点ではキャリアアグリケーション対応エリアはまだまだ少ないが、今後増加される予定だ。

識者の推す法人向けスマートフォンとは

 キャリア以外の意見も聞いた。オールアバウトでガイドを務める伊藤浩一氏は、法人端末のオススメ機種として、NTTドコモ「Xperia Z2 SO-03F」を挙げた。

 伊藤氏によれば、

  • 電話としての安定性
  • 「Microsoft Exchange」または「Office 365」のソリューション対応

という点がまず大きなポイントだ。さらに、携帯電話端末として待受け時間を考えた場合でも、連続待受時間570時間を誇る「Xperia Z2 SO-03F」がオススメできるという。

 同じくガイドを務める水谷 哲也氏はアップルの「iPhone5」をオススメしている。その理由としては、

  • セキュリティ

が大きなポイントだという。

 「iPhone向けマルウェアはあるがAndroidより量としては比較的問題がなく、リスクが少ない。Androidを最新バージョンのOSにすればマルウェアの多くは防げるがアップデートをいかに社員に守らせるかが課題になる」としている。

ビジネス向けスマートフォンの要件とは

 上で紹介した法人向けスマートフォンの中でも、現時点でのビジネスシーンで求められているスマートフォンの姿を具現化したともいえるのが、表中にもあるNTTドコモ「ビジネススマートフォン F-04F」だ。その特徴から、2014年春〜夏時点における、ビジネスに適したスマートフォンの要件を解説しよう。

通話とメールが使いやすいUI

 基本的に、スマートフォンを業務用として導入する場合には、従来のフィーチャーフォンからの置き換えが目的となる。従来のフィーチャーフォンで主に利用されていたのは通話とメールだ。つまり、現時点でスマートフォンを企業導入しようとする場合、この最も使う2つの機能が使いやすい端末である必要がある。

 F-04Fでは、画面をオンにした場合、メイン画面に主要機能のボタンがタイル状に敷き詰められていて、迷わずにすぐ通話したり、メールを読んだりできるようになっている。また、フィーチャーフォンの十字キーの操作体系と同様に、メイン画面の左フリックで発信履歴、右フリックで着信履歴が見られるというような工夫もなされている。

 基本的にはAndroid端末なのだが、OSを感じさせない作りが、フィーチャーフォンに近い使い勝手をもたらしている。

アプリダウンロード不可

 業務用端末では、不要なアプリをユーザーが勝手にダウンロードして利用することは、業務の妨げになるし、不正なアプリをダウンロードすることでマルウェアなどの脅威にさらされる可能性もある。そこで重要なのが、アプリをダウンロード不可にすること。F-04Fの場合は、Google Playへのアクセスは端末レベルで不可能な設定になっている。もちろんMDMツールなどを使えば同様の設定も可能だが、はじめから端末にその機能がなければ、管理ツールで設定するまでもないというわけだ。

明瞭な音声通話と通話録音機能

 業務用端末がフィーチャーフォンからスマートフォンへ移行しても、重要なのは通話だ。F-04Fは「スーパーはっきりボイス4」機能を搭載することで、周囲の雑音の中でもハッキリと明瞭に聞き取れ、自分の音声も雑音なく相手に届けることができる。

 また、スマートフォンで意外に要望の多い機能の1つが、通話中に相手の音声を簡易録音する「通話録音」機能なのだという。F-04Fでは、その通話録音機能をワンタッチで容易に利用できる仕様になっている。通話相手の言質がときに必要となる営業の現場などで活用できるだろう。

画面のロック、解除が容易で安全

指紋センサー F-04Fの指紋センサー(出典:NTTドコモ)

 スマートフォンをポケットやカバンからサッと取り出してすぐに使えるというのも重要な要件だ。ただし、「誰もが使えてしまう」のでは困る。F-04Fは、取り出してすぐ指紋センサーをタッチすることで指紋認証でユーザー個人を特定し、端末のロックを解除できる。逆にロックする場合は指紋センサーを押すことですぐにロックできる。ビジネスシーンにおいては、すぐに使えることと基本的なセキュリティの確保の両立が重要ということだ。

適度なサイズと防水/防塵機能

 F-04Fの厚みは約11ミリと決して薄くはないが、手にすれば薄すぎて頼りないような印象はなく、適度に手に収まるサイズとなっている。形状に凸凹がほとんどないため、取り出す際にカバンやポケットに引っかかるというようなことも少ない。

 また、IPX5/8、IP5Xという防水、防塵性能(具体的には30分ぐらいの水没、シャワー程度の水圧に耐え、日常生活で起こりうる粉塵の侵入を許さない)を備えることで、どんな場所でも安心して利用することができる。

低消費電力による長時間利用

 業務で使う場合、最も気になるのが電池の持ち。少なくとも、朝に外出して帰社するまでにバッテリー切れになるのは避けたい。F-04Fの場合、消費電力を最適化したことによって、一般的な利用の場合、約4日間はバッテリーが切れることなく利用できる

 ここで挙げたのはあくまで端末を使うエンドユーザーからの視点となるが、他にもF-04Fが採用する

  • 内蔵するmicroSDカードが完全暗号化されているため情報流出を防ぐ
  • Microsoft Exchangeサーバと連携可能
  • AndroidOSバージョン非対応

といった点は、スマートフォンの導入を検討したり、端末を管理したりする情シス部門にとっても注目できるポイントだ。

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