多くの企業は、オンプレミスで運用する重要システムの可用性を確保するため、以前からHAクラスタリングソフトウェアを活用してきた。これらのシステムをクラウドに移行するに当たり、実績ある仕組みを捨ててHAクラスタを最初から作り直すことは、コスト、時間、運用スキルの継承といったさまざまな観点からリスクが大きい。
そこで、オンプレミスで利用しているHAクラスタリングソフトウェアも併せて、そのままクラウドに移行するというケースが増えた。これにより、現状の運用形態やオペレーションをそのまま維持できる。
基幹系データベースの可用性を確保する手段として、Oracle RACを活用するケースがよくある。金融機関や製造業などの特にミッションクリティカルなシステムにおいて、Oracle RACとHAクラスタリングソフトウェアを組み合わせることで、障害発生時のフェイルオーバーをさらに短縮できる。
システムに障害が発生した際に、待機系でのフェイルオーバーがスムーズに行われ、問題なく業務が継続できたとしても「結果オーライ」では済まされない。
システムのどの箇所にどんな障害が発生し、どのようにフェイルオーバしたのか。障害の原因と復旧のプロセスをしっかり検証し、システムに内在する問題点があれば改善する必要がある。この取り組みが、同じ障害が再び発生することを回避し、システムのサービスレベルや可用性をより高めることにつながる。
そのためには、たとえクラウド環境であっても運用基盤がブラックボックス化するのを避ける必要があり、HAクラスタリングソフトウェアが役立つ。
HAクラスタリングソフトウェアは、単体製品として提供される他、ハードウェアと一体開発されて組み込まれるものもある。
本体装置のCPUとは別のサービスプロセッサで稼働するシステム監視機構を搭載し、CPUやメモリ、ディスクなどの状態はもとより、ファンの回転数や装置内の温度など、本体装置の状態を常に詳細に把握することで、異常を検出した際に確実なデータ保護と迅速なフェイルオーバーを実現する。OSがダウンした場合でも影響をまったく受けることなく、本体装置の監視、制御を行うことができる。
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