上記事例に見るように、ネットワーク仮想化のメリットは「柔軟性」「構築や変更の迅速性」「運用管理の容易性、コスト削減」が主要ポイントだ。このメリットをさらに極めるように、ファブリックや他の技術を利用した仮想ネットワーク、あるいは物理ネットワークもまとめて監視、運用管理可能なツールも登場した。
VMwareの「VXLAN」、マイクロソフトの「NVGRE」はVLANを拡張したトンネリングプロトコルであり、仮想化スイッチなどを利用する仮想化環境で使いやすく手軽なネットワーク仮想化の手法だ。
また、VMwareの「NSX」(旧Niciraの技術を継承)は仮想化環境の他、既存の物理ネットワークやファブリックなども仮想ネットワークの一部としてオーバーレイして通信可能なSDN製品になり、国内大手通信会社などの導入事例も登場した。
これとは別にVMwareが提供しているクラウド管理ツールに「vCAC」(vCloud Automation Center)がある。VXLANとNSX及び他ベンダーの製品とも一体化し、図3に示すようにNFV(Network Functions Virtualization、ネットワーク機能仮想化)を実現し、ファイアウォールやロードバランサ、L3ネットワーク機器までアプリケーションとして実装、機器運用コストを削減可能にする。
また、IaaS構築用のソフトウェアツール群であるOpenstackやCloudstackも普及を始め、サーバリソース管理(オーケストレーション)が可能になったが、今ではそれにネットワークリソースのオーケストレーションも加わるようになった。
図4に見るSDNアプライアンスは、各種ネットワーク装置と管理ネットワークなどが全て1つの筐体に収められ、Openstackによる管理機能までがパッケージ化されたソリューションだ。このアプライアンスにはファブリックが内蔵されており、ファブリック内および外部のネットワークを一元管理可能なツールを備える。スイッチは低価格で標準技術だけを使用したベアメタルスイッチによる構成が可能なため構築を低コストにできる可能性もある。
アプライアンスを利用しなくても既存ネットワークや新たに構築する仮想化ネットワークの一元制御と管理は可能だが、自前でシステム構築する負担が軽減できるところに注目だ。参考までに、その管理画面の一端を以下に示す。GUIにより、全体の状況把握やポート別の設定が分かりやすくできるよう配慮されている。
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