ファイルおよびブロックデータどちらでも格納できるユニファイドストレージはさまざまな用途に活用可能だが、実際の現場での使われ方には特徴がある。
もともとユニファイドストレージが広がったのは、サーバ仮想化を実装する際に柔軟なストレージが求められたことが1つのきっかけだ。具体的には、VDIなどデスクトップ領域の仮想化では共有ストレージとして利用される。
特に仮想デスクトップのOS領域は起動時などに大量のI/Oが発生するため、さまざまな環境に対応可能なマルチプロトコルに加えてそれに耐え得る性能を持つブロックストレージが求められる。
また、ユーザーデータ領域ではさまざまなファイルが生成されるため、重複排除などの効率性が高められるファイルストレージが必要になる。これらを兼ね備えているのがユニファイドストレージというわけだ。
これまでハイエンドのSANストレージが利用された領域に、性能向上が著しいユニファイドストレージを利用するという使い方もある。最近ではユニファイドストレージにもオールフラッシュモデルが登場し、CPU性能やI/O性能が一昔前に比べて飛躍的に向上した。そこで、従来のSANストレージよりも安価で拡張のあるユニファイドストレージが選択される場面が増えたようだ。
実は、以前のようにストレージ側で性能を確保せずとも、サーバ側にフラッシュカードを挿入して高速化を実現したり、サーバ側で高速化が求められる読み込み処理を行いながらデータの書き込みについてはストレージ側で行ったりなど、高速化のバリエーションが増えた。
このことが、それなりの性能を発揮するユニファイドストレージがハイエンドストレージの代わりに利用される一つの要因になった。ちなみに、この場合はブロックデータを中心に利用され、本来ユニファイドが持っているファイル、ブロック双方での統合という使われ方ではない。
システム部門に十分な人材が確保できない中堅中小企業にとって、プロトコルの異なるストレージを統合することは運用管理上メリットが大きい。大企業の場合は、これまで同様に個別に運用するケースも少なくないようだ。
特に最近では、ソーシャルの急速な普及により画像や映像などを格納するファイルストレージの需要が顕著となっている半面、ブロックデータに関しては急激な伸びはない。そこで、ファイルに関してはスケールアウト型のNASに格納し、ブロックは従来のハイエンドモデルのブロックストレージをそのまま利用するか、性能が向上したユニファイドストレージを使うという形で使い分けが行われる。
もちろん、スケールアウトアーキテクチャを採用したユニファイドストレージであれば、スケールアウトNASのような使い方も可能なため、双方混在させながらスケールアウトによりシンプルに拡張できるだろう。
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