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「統合運用管理ツール」大全、ハイブリッド環境で何が変わる?IT導入完全ガイド(1/4 ページ)

クラウドファーストが浸透する中で運用管理の問題に直面する。オンプレミスとクラウドの混在環境で異なる運用の仕組みが並立し、サポートデスクも分断といった課題を解決するツールとは?

» 2015年02月02日 10時00分 公開
[小山健治キーマンズネット]

 システム更新時や新規システム導入時にクラウドの活用を優先的に検討する、いわゆる「クラウドファースト」の考え方が浸透し、クラウドの利用も当たり前になった。しかし、そこで直面するのが運用管理の問題である。オンプレミスとクラウドの2つの環境で異なる運用管理の仕組みが並立し、サポートデスクも分断される。

 この課題解決において注目されるのが、オンプレミスとパブリッククラウドの双方に対応した統合運用管理ツールだ。混在した2つの環境を包括した管理を実現する。

「統合運用管理ツール」基礎と運用管理

 これまで統合運用管理ツールは、大きく監視管理、ジョブ管理、性能管理といった機能を中心に進化を遂げた。そして現在、クラウドの台頭とともに、その概念をさらに拡大しようとしている。

 従来の物理的なサーバやストレージなどを基盤としたオンプレミスのシステム環境のみならず、プライベートクラウド、パブリッククラウドが混在したシステム環境において、その差異をユーザーが意識することなく活用できるハイブリッドクラウド、マルチクラウドの一元管理が重要なテーマとなった。

ハイブリッド環境で直面する運用管理の課題とは

 まずは、パブリッククラウドの利用とともに顕在化した課題について考察しておきたい。これらはいずれも、オンプレミスのみでシステムを運用していたときには、意識する必要のなかった問題である。

勝手クラウドのまん延がガバナンスを低下させる

 インフラ(IaaS)、ミドルウェア(PaaS)、アプリケーション(SaaS)といったレイヤーの違いにかかわらず、必要なITサービスをパブリッククラウドから簡単に調達できる時代となった。

 ところが、この手軽さが従来とは違った形でのシステムのサイロ化を招く。各部門やプロジェクトが独自の判断と予算でクラウド事業者と契約し、ITサービスを調達するのである。こうして社内にまん延する勝手クラウドに情報システム部門の目は行き届かず、ガバナンスを著しく低下させてしまう。

トータルコストは下がるどころか、むしろ上昇する

 コスト削減を目的にクラウドを利用し始めた企業は少なくないが、期待していたような成果はなかなか得られない。そもそも従量制によって変動する課金をコントロールすることからして困難だ。

 クラウドは急激な負荷増加に対してオートスケーリングでリソースを追加するなど、拡張に対しては比較的容易に追随できるものの、不要となったリソースの縮小や廃棄は手作業で行わなければならない。結果、どのシステムからいつ利用されているのか、誰も把握できていない余剰リソースが、どんどん膨らんでしまうことになる。これがクラウド利用のコストが高止まりしてしまう原因だ。

管理業務が分断して負荷が増大する

 クラウドを活用することで、インフラやハードウェアの運用管理については事業者側に任せられる。しかし、OSより上のレイヤーにおけるサービスレベル管理やジョブ管理、構成管理などは、これまで通りユーザー側で行わなければならない。

 パブリッククラウドごとに提供される管理コンソールを使い分けなければならず、サービスデスクも分断され、運用管理は従来よりも複雑化して負荷が増大する。

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