入退室管理システムは、ただ設備を導入しただけでは十分な効果を発揮しない。システムを使って何をしたいのかといった運用設計を描くことが最も重要となるのである。また、カードリーダーや監視カメラの設置場所にしても、素人が考えたのでは穴だらけになってしまう。
そこで、単なるシステム導入屋ではなく、その企業の課題の洗い出しから、機器の選定、入退室管理システムの運用方針まで、適切なアドバイスを行えるようなコンサルタント的なベンダーを選ぶことが大事だ。そのためには、過去の導入実績なども参考するようにしたい。
新しい自社ビルを建てる場合には、物理セキュリティも考慮した設計が求められることになる。しかし、設計会社や建築会社には基本的にセキュリティに関するノウハウはない。従って、セキュリティレベルの高い部屋を奥に設置するといった基本的な事柄も踏まえずに設計が行われるケースもある。
とはいえ、普通の企業にとって、設計会社に適切な指示を出すというのは相当ハードルが高いことだ。それ故、セキュリティの基本方針に従って設計会社と建物の設計のすり合わせができるベンダーを選ぶようにしたい。
また、既存のテナントビルであっても、入退室管理システムを導入する際には、新規、リプレースを問わず建物内で何らかの工事が必要となることが多い。その際には、ビルのオーナーや管理会社と、工事の許可や他の入居者への影響を最小限に抑えるような工事の進め方の確認などの交渉が必要となる。そうしたやりとりをノウハウのあるベンダーに任せることができれば心強いだろう。
1つのベンダーが開発した機器やアプリケーションで固めるというのは、もちろんいい面もあるが、より高性能で低コストな製品が他社から登場しても容易に切り替えられないなどデメリットも大きい。そのため、主要メーカーの製品の特徴を熟知して、その企業にとって最適な製品を選ぶことができるようなベンダーの見極めが重要だ。
例えば、ビルの入り口に設置するフラッパーゲート1つをとっても、メーカーによって幅が異なるため、通路の幅と必要なゲート数によって選択すべきメーカーも変わる。そこまで含めたアドバイスと選択肢を提供できるベンダーを選びたい。
中小企業や、小さなオフィスを幾つも抱える企業にとって、ビルごとに入退室管理システムの情報を管理するのは非効率だ。そうした企業には、クラウドで一元管理を行えるようなソリューションが提供されているかどうかが、かなり優先度の高い検討項目となるに違いない。
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