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ビジネス加速に不可欠、あらためて考えるDevOpsツールIT導入完全ガイド(4/5 ページ)

» 2015年09月28日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

老舗の保険、金融企業も導入、品質50%改善、ダウンタイムは70%減少

 米国で80年の歴史をもつある保険、金融サービス企業は、全米5000人のITスタッフを擁する大企業だが、保険業界特有の規制対応など厳しいビジネス変化の波の中で、ITの変化がビジネス変化のスピードについていけなくなっていた。

 必要なタイミングで求めるソフトウェアが手に入らないことに業を煮やした同社は、ソフトウェアリリースサイクルを時代に即した速度に変えるために、それまでのウォーターフォール型開発からアジャイル開発への移行を決断した。

 結果はすぐに表れた。2010 年に6つの開発チーム約50人を開発センターに集約してDevOpsのアプローチを取り入れたアジャイル開発の効果実証に踏み切ったところ、1リリース当たりの不具合が8件から1件に、期限内の納品が6割に過ぎなかったのを9割にまで改善できたのだ。

 この成果を受け、同社は同手法を既存メインフレームやBI系の分析システムにまで広げることにした。導入したDevOpsツールは「要求定義ツール」「プログラム開発、ソースコード管理、ビルド管理、変更管理、タスク管理の統合ツール」「テスト自動化ツール」「アプリケーション資産分析ツール」などだ。

 その結果、コードの継続的インテグレーションとデプロイが 1 日数回行えるようになり、ユーザー側の受け入れテスト(成果物が要件を満たすかのテスト)を開発と同じ短期サイクルで実行できるようになった。またユーザーに開発途上のものをほぼリアルタイムで示し、ユーザーの求めるものが実現できているかどうかを確認できるようになり、手戻りが減ることにつながった。スタートから3年で、仕上がったシステムの品質評価は50%改善を示し、ダウンタイムは70%減少したという。

 同社のプロジェクトチームの特徴は、業務部門、開発技術者、インフラ技術者など、職務の枠を超えたメンバーで構成し、同じ場所で全員が仕事できる環境の中でコラボレーションを行っているところだ。しかもEclipseベースでの開発に堪能な技術者とメインフレーム開発技術者をペアにする工夫もしている。これによりメインフレーム技術者がJava技術者の方法を学び、継続的インテグレーションや継続的デリバリーの概念が共有できるようになった。

 同社では、十分な計測と評価がDevOpsのカギであり、目標の設定とそれに照らした評価が目で見える形で行えるところ(可視化)に価値があると考えている。

 また、この事例はDevOpsがメインフレームなど従来型のシステムにも適用可能であることを証明しているとともに、考え方や文化にギャップがある技術者同士が理解を深め、同一の概念をもとに共同作業ができる体制づくりに役立つことも示す例といえるだろう。

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