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年間数千万円のコスト削減効果、事例で知るワークフローツールIT導入完全ガイド(2/3 ページ)

» 2015年11月02日 10時00分 公開
[小池晃臣タマク]

 では、実際に国内の企業ではワークフローツールによってどのようなメリットを生み出しているのか、具体的な事例を見ていくことにしよう。ちなみにここでは比較的規模の大きな企業の事例を取り上げているが、企業規模にかかわらず得られるメリットの多い点も補足しておきたい。

事例1:キャッシュレス化で小口現金を廃止(ピー・シー・エー)

 ソフトウェア会社の同社では、紙で運用していた経費精算業務をワークフローツールによって電子化。本社と全国の営業所で精算フローを統一するとともに、各営業所での小口現金を廃止した。

 これにより、経費精算処理を本社に集約して、申請から銀行振込までワンストップで行えるファームバンキングによるキャッシュレス化を実現している。さらに、各営業所の担当者が銀行へ出向く時間や経費、社内に現金を保管するリスクといった従来の課題を解決することに成功した。

事例2:年間1000万円の削減効果(J-オイルミルズ)

 製油事業の国内最大手の同社は、システムとシステムの間で人手を介している部分の見える化という、内部統制を第一の目的としてワークフローツールを導入した。導入に際しては、業務フローや承認経路を明確化し、ワークフローツールの社内への浸透にも成功した。

 現在、ワークフローツールによって70種類の申請書を利用しており、処理件数は年間1万7000件に上っている。年間1万件以上の申請作業がワークフローツールの導入後に一気に効率化されたことで、年間1000万円の削減効果を得ることができた。他にも、監査時の資料提出のスピードアップやFAX通信費の削減など、さまざまなプラスの効果が表れているという。

事例3:会計業務の担当者を半分に(高島屋)

 百貨店大手の同社では、従業員が1カ月に提出する出張旅費や経費の伝票が何万件にも及んでいる。しかし従来は、精算時に異なる帳票やシステムに複数回の入力が必要で効率が悪かった。そこで、使用者が直接経費を入力して一気通貫で会計システムまで連携できる仕組みを構築すべく、ERPパッケージの更新と合わせてワークフローツールを導入した。

 これにより、経費の使用者は、ERPシステムを意識することなく経費をシステムに入力できるようになり、経理担当者による二度打ちを削減し入力チェックも可能となるなど、承認行程の短縮と合わせて入力や確認過程での効率化を図っている。こうした効率化の結果、同社では主計グループなどの人数を導入前の約2分の1にでき、人的リソースの有効活用にもつながっている。

事例4:人件費だけでも年間8100万円の節約に(地盤ネット)

 「住宅地盤の専門医」を掲げ地盤調査、解析、補償サービスを展開する地盤ネット。同社のワークフローツール導入事例は、一般的なワークフローのイメージとは少々異なる、一歩先のワークフローツールの在り方を示すケースといえるだろう。

 同社は、ワークフローツールとIaaSを組み合わせることで、地盤調査を求めるビルダーと同社、地盤調査会社らをシームレスにつなぐ共通基盤「スマート地盤システム」を構築し、2014年10月から試験運用を開始している。このシステムは、物件、調査、解析、工事、請求、添付画像などさまざまな情報を集中、一元管理して、ビルダー、地盤ネット社員、調査会社などの関係者全てがアクセスするワンストップ総合サービスとなっている。このシステムの中核をなしているワークフローツールは、企業間をシームレスにつなぐとともに、業務プロセスを自動化している。

 ワークフローツールによる業務自動化の効果などにより、社内の作業工数は40%も削減された。このため、過去のシステムでは46人必要になると見込まれた月6000件のビジネス規模を、28人でこなせるようになる見込みで、人件費だけで試算しても、年間8100万円の節約になるという。

ワークフローツールで自動化 図2 社内だけでなく社外とのやりとりを含めた業務の流れをワークフローツールで自動化(出典:NTTデータ イントラマート)

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