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オンプレミス型グループウェアからクラウドへの移行手順を考えるIT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2015年12月09日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]

オンプレミス製品の移行先は、ほとんどがクラウド型

 実際にオンプレミス製品のユーザー企業が新たな移行先として検討するのは、もうそのほとんどがクラウド型のグループウェアだという。

 その理由は言うまでもなく、激しい環境変化にも柔軟に対応できること、自社でグループウェアのお守りをする必要がないこと、利用の開始や停止が簡単なこと、月額料金で利用でき、コストを経費化できること、バージョンアップのためのコストも一切不要なことなど多くのメリットがあるからだ。

 大企業では、ハードウェア基盤をIaaSへ移行するというステップを挟んでクラウド型グループウェアの本格採用へと動くケースもあるようだが、例えば自社のセキュリティポリシー上、どうしてもオンプレミス製品でなければダメだという部分がある場合を除いて、グループウェアのクラウドサービス化はもはや不可逆な流れだといえるだろう。

コラム:クラウド型からクラウド型へのグループウェア移行はあるのか

 本文ではオンプレミス製品で利用されているグループウェアからクラウド型グループウェアへの移行に焦点を当てて解説してきたが、それではいち早くクラウド型のグループウェアを使っていた企業が、他のクラウド型グループウェアへ移行するようなケースはあるのだろうか、またあるのなら、その理由は一体何なのか。

 今回の取材でこの点についても聞いてみたところ、さまざまなクラウド型グループウェアを取り扱っているSI企業から、「最近ではGoogle AppsからOffice 365への移行パターンが増えている」という話を聞くことができた。これには各サービスの成り立ちが大いに関係しているようだ。

 まずGoogle Appsは、クラウドサービス自体の黎明期に既に登場していたサービスで、企業内で利用される以前に、企業内のユーザーが個人として使い始めており、それが便利だったので会社での利用も促進していこうという流れで普及が進んできたものだ。価格体系も非常にシンプルで、メールやオンラインストレージなど必要十分な機能がオールインワンで提供されている。

 一方のOffice 365は2011年の提供開始で、クラウドサービスとしてはGoogle Appsの後発となるものだが、WordやExcelなどOffice製品のクラウド版がスイートとして提供されており、Windowsが標準となっている企業のコンピューティング環境と非常に相性がいい。過去のWindows資産もそのまま活用することができ、ユーザーの配分などキメ細かな設定も可能で、価格体系のバリエーションも豊富だ。例えばメールとTV会議の機能だけを契約して利用するといった使い方もできる。

 Google Apps、Office 365それぞれに特徴があり、どちらのほうが使い勝手がいいかはユーザー企業の考え方や使い方によるが、最近ではOffice 365の機能や価格体系がかなり充実してきていることもあり、クラウドサービスの黎明期にいち早くGoogle Appsを導入したユーザー企業が、Office 365の進化や既存のWindows環境との親和性を考えて、オンプレミスのWindows製品ライセンスをOffice 365に統合してしまうといった動きを見せているのだ。こうした背景が分かれば、Google AppsからOffice 365へのリプレースが増えているというのも大いに頷ける。

Google AppsとOffice 365との特徴比較 図1 Google AppsとOffice 365との特徴比較(出典:富士ソフト)

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