次に、オンプレミス型グループウェアが抱える課題を見てみる。ここではオンプレミス型グループウェアの代表的な製品であるNotesを例に見ていくことにする。そもそもユーザー企業にとって、何が問題になっているのだろうか。
周知のようにNotesは20年以上の長い歴史を持つグループウェア製品だが、そのカバー領域は大きく拡大してきており、今では企業のアプリケーション開発基盤という位置付けにまで進化している。その大きな特長は、IT部門に頼まなくても、ユーザー部門自身が必要とするNotesDB(=業務アプリケーション)を自分たちの手で作ることができるという点だ。
しかし実はこれがもろ刃の剣となっていたようだ。現場で欲しい機能をすぐに作ることができるというメリットは、変化のスピードが激しい今のビジネス環境に対応していくためには非常に有用となる半面、全社レベルで見たときには、どの部署が、どんなNotesDBを作ったのかという状況を見えにくくしてしまう。結果、不必要なものも含めNotesDBが社内に散在するという状況を生んでしまっていた。
部門ごとに作ったNotesDBが増え過ぎてしまうと、当然のことながらIT部門の統制は効きにくくなる。全社で一体幾つのNotesDBが存在しているのか、またそれらがどれだけのITリソースを占有しているのかを把握することが非常に難しくなるのだ。さらにNotesDBを作った人間が異動や退職などによってその部署からいなくなれば、管理者不在となってしまう。Notesの柔軟性が、ITガバナンスの問題とムダなITコストを生むリスクを抱えることにつながってしまうということだ。
オンプレミス製品は、ソフトウェアのライセンスフィーや年間保守費用が発生することになる。また、現在では「モバイル環境から社内システムにアクセスして利用したい」というエンドユーザーのニーズが高まっているが、Notesはコストをかけなければフレキシブルに対応することが難しいという声も聞かれる。クラウドサービスのほとんどは、ブラウザさえあればモバイル環境からのアクセスが可能になるため、オンプレミス製品の方がコスト高になると考えられがちだ。
ユーザー企業において、アプリケーション開発基盤としての存在感が大きく高まっているNotesには、これまでに作ったNotesDBをどうするかという独自の課題があり、さらにソフトウェアのライセンスフィーや年間保守費用が高止まりしてしまっているという現状が、リプレースの動機になっているようだ。
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