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オンプレミス型グループウェアからクラウドへの移行手順を考えるIT導入完全ガイド(1/4 ページ)

「レガシー型のグループウェアから、コストや使い勝手を理由に脱却したい」歴史の長いNotesからの移行を試みるもなかなか抜け出せない企業も多い。

» 2015年12月09日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]

 高い運用コストや使い勝手の悪さなどを理由に、現在使用しているグループウェアのリプレースを検討している企業は多い。中でも歴史の古い大企業向けのグループウェア製品「IBM Notes/Domino」からの移行、すなわち「Notesマイグレーション」には、大企業がNotesのヘビーユーザーだったからこそ、なかなか抜け出すことのできない数々の課題が存在する。今回はオンプレミス製品から、今後の主流と予想されるクラウド型グループウェアへの移行時に検討すべきポイントについて考えてみたい。

オンプレミス製品のユーザー企業がリプレースを検討する3つの動機

 古くからグループウェアを導入し活用してきた企業も、製品のリプレースを考えるタイミングもあるだろう。そこには大きく3つの環境変化が挙げられる。

現行利用バージョンのライセンス切れ

 文字通り、今使っているオンプレミス製品のライセンスが切れるタイミングで、同一製品の新バージョンにアップグレードするか、あるいは今までの利用環境を廃棄して新たなグループウェアに移行するのかという選択になる。

 移行先のグループウェアが現行製品の代替機能を提供していることは大前提として、ここでの判断基準は、第一に今後のランニングコストが大きなポイントとなる。同時により戦略的なIT活用を考える企業では、IT担当者にビジネス視点からのIT戦略立案といったよりハイエンドな業務に集中してもらうために、既にコモディティ化したグループウェアのお守りは外出しして、極力彼らの負荷を減らすという観点からクラウド型のサービスを選択するケースが多い。

現行製品のサービス終了

 これはソフトウェアのライセンス切れというよりも、ソフトウェアベンダーが製品の提供自体を打ち切ってしまうケースだ。最近では国産メーカー系グループウェアのサービス終了が顕著な例として挙げられるが、こうした場合にユーザー企業は否応なくリプレースを検討する必要に迫られ、今後自社のグループウェアをどうしていくかという問題に直面することになる。

 ここで移行先グループウェアの選定基準となるのは、同じく必要な機能が保証されていることに加えて、コスト低減や環境変化への柔軟性などがポイントとなってくるだろう。

基盤となるハードウェアのリース切れ

 オンプレミス製品がインストールされているサーバのリース切れも、ユーザー企業がグループウェアのリプレースを検討する1つのきっかけになる。この場合、ハードウェアの刷新に合わせてクラウド型グループウェアを採用するという選択肢もあるが、自社でデータセンターを保有しているような大企業の場合、サーバのリースが切れたからといってクラウド型グループウェアを採用しても、全体的なメリットはそれほど大きくはないかもしれない。

 そこでまずは将来的なデータセンター全体のクラウド化を前提として、リースの切れたグループウェアの基盤をいったんAWSやMicrosoft AzureのようなIaaSに移行するという対応を採る企業もあるようだ。いわば全社クラウドサービス化ファーストステップという形で、まずはハードウェア基盤をパブリッククラウドに移行し、グループウェアはその上でプライベートクラウドとして利用するという形態である。

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