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売上アップの実例、銀座メガネのタブレット徹底活用術IT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2015年12月16日 10時00分 公開
[二瓶 朗グラムワークス]

高額な高機能レンズの販売数がアップ

 まずは44店舗へ1台ずつiPad Air 2を配布。各種資料や製品情報、カタログなどを電子化(PDF化)し、MCMツールを使って一斉配布した。

 資料やカタログに変更があれば本部で修正し、すぐに再配布できるようになった。また、商品の価格表もデータ化した。価格改定や新製品の追加があった場合、各店舗への周知がほとんどタイムラグなしで徹底できるようになった。

販促資料 図2 店頭で使われる電子カタログ、ビジュアルを多用した販促資料(出典:銀座メガネ)

 懸念したのは、必ずしもデジタルリテラシーが高いとは限らない従業員がタブレットの導入に対応できるかどうかという点だ。しかし、それは杞憂に終わった。若手の店舗スタッフはプライベートでもスマートフォンを活用しており、特にタブレットの使い方研修をすることなく直感的に使いこなした。データがフォルダごとに整理されていることも、操作に戸惑いがないとして従業員に好評だった。

 店舗での運用が始まると、当初想定していなかった手応えを感じたという。取り扱い商品の中には口頭だけで商品の特徴を説明しきれないものもあった。それが、タブレットでビジュアルを使ったプレゼンテーションを行うことで売り上げ拡大につながったのだ。

 例えば、遠近両用レンズの場合、高機能になるほど単価も高くなる。高機能製品のセールスポイントが「周辺部のゆがみが少なくて視野が自然」であることを口頭で伝えても、顧客がそのメリットを実感しにくく、購入に至るのは価格の安い製品だ。

店頭で活用されるタブレット 図3 店頭で活用されるタブレット(出典:銀座メガネ)

 そこで、通常商品と高機能商品の見え方の違いをシミュレートし、性能差が一見しただけでパッと分かる資料を配布して、店頭でのセールストークを支援した。すると高機能商品の売り上げが伸びた。単価が高い商品でもそれに見合う機能を備えていることが正確に伝えられれば、顧客は購入を検討するわけだ。

 銀座メガネでは、ビジュアルを使って顧客への訴求ができる資料を自社で制作したり、レンズメーカー、コンタクトレンズメーカーなどと協力したりしながら拡充しているという。

 トップダウンで進んだタブレット導入だったが、今では販売の現場である店舗から使いやすい資料の改善提案が届くようになるなど、組織内での意見交換が以前よりも活発になっているという。

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