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コスト削減にセキュリティ強化、助成金まで 中小企業こそ使えるクラウド型データセンターIT導入完全ガイド(1/4 ページ)

中堅や大企業では一般的なデータセンター活用も、中小企業ではまだ進んでいないのが現実。3つの理由と助成金などのデータセンター利用のメリットを解説する。

» 2016年01月12日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]

 中堅から大企業ではもはや当たり前となっているデータセンターの利活用。一方で中小規模の企業では、あまり利用が進んでいない現状があるようだ。その背景には、そもそもIT専任者がおらず、ユーザー部門との兼務者がシステム運用をしている企業が多いことが挙げられる。

 目に見えない場所にシステムを置いてしまうとオペレーションに余計に手間がかかる、そもそもシステム運用コストがそれ程かかってはいないと思い込んでいる企業側の理由などがありそうだ。しかし、データセンターの特長を正しく理解すれば、中小企業も大きな恩恵を享受できる。中小企業の目がデータセンターに向かない理由は何なのか。中小企業でのシステム運用場面を考えた時、そこには3つの理由がある。

IT機器類の運用にコストがかかっていることが見えていない

 多くの中小企業では、従業員が働くオフィスの一角を区切るなどしてサーバやネットワーク機器などを設置し、各種業務システムを稼働させている。専用のサーバルームがあるわけではなく、人とIT機器が同一フロアで共存している状況だ。

 そのため空調機器も従業員用の設備と共通で、IT機器が置かれているフロアでは設定温度を少し低めにするという対応で乗り切っている。これは、機器類から生じる熱によって人が暑く感じてしまい、快適さを維持するために温度設定を下げているだけで、IT機器を冷却するという発想からの対応ではない。

 そのため、「IT機器の運用に多くの電気代がかかっている」と認識されること自体が少ない。サーバ設置スペースについても同様で、従業員が働いているフロアの一部を使っているため、場所代がかかっているという認識もあまりない。

 つまり中小企業では、通常のシステム運用でコスト要因の1つとなっている電気代と、IT機器類の設置場所代とがそもそも算出されていない(=見える化されていない)といった傾向がある。このような経費は従業員用の電気代やオフィス代に紛れ込んでしまい、「わざわざデータセンターを使わなくても」という判断に落ち着いてしまう。

遠くにIT機器を置いてしまうと、担当者が運用しづらい

 専任のIT担当者を置くことが難しい中小企業では、総務部門や経理部門などで少しITに詳しいメンバーが、兼務でシステム管理を担当しているケースが多い。サーバなど管理対象となるIT機器を自席の近くに設置することで、もし何らかの不具合が発生した場合でもすぐに対応できるわけだ。

 そもそもデータセンターに預けるほどのサーバ台数でもない。今の環境で何の問題もないのだ。IT機器をデータセンターに置いてしまったら、何かあった時にわざわざ現地まで足を運ばなければならない。それでは手間がかかってしまうと中小企業では考えてしまう。これもまたデータセンターを利用しない理由の1つになる。

社外にシステムを置くと、セキュリティが心配だ

 「自社システムを外出しするのは、セキュリティ面で不安だ」という声もある。これは中小企業だけでなく、中堅や大手企業からも聞かれる声だ。

 客観的に見れば、こうした不安は心情的な部分がほとんどだといえる。だが、中小企業にはシステムは目に見えるところに置いておく方が安全だという思いがある。これが中小企業でデータセンターの利用が進まない3つ目の理由だ。

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