東京都環境局では2015年度から都内の中小規模事業所が保有する情報システム等を、省エネ性能の優れたデータセンター上のクラウドサービスへ移行するために必要な経費の一部を助成する「東京都中小規模事業所のクラウド利用による省エネ支援事業(クラウド化支援事業)」を開始した。
より分かりやすく言うなら、東京都内の中小企業が今使っているサーバなどのIT機器類の保有を止めて、現サーバで動いているシステムをクラウド型データセンターに移行するなら、その移行コストの一部を負担するものだ。その意味で、クラウド化支援事業というカッコ書きが付けられている。
移行先の省エネ性能に優れたクラウド型データセンターは東京都とJDCCが認定する。中小企業はリストにあるデータセンターへの移行を行うことで、移行作業費などの一部に補助金が出る。
参考までに東京都とJDCCが認定するデータセンターは、建物設備の性能やエネルギー効率のレベルを示す指標「PUE(Power Usage Effectiveness)」の数値、運用管理項目に応じてレベル1からレベル3までに分類されている(表2参照)。レベルが上がるにつれて、より省エネ性能に優れたデータセンターということだ。
まず東京都とJDCCが協力して、レベル1からレベル3までのデータセンターを認定する。レベル1に相当する「環境に優しいデータセンター」に移行する場合には、移行コストの6分の1(上限750万円)、レベル2と3に相当する「環境配慮型データセンター」に移行する場合には同じく3分の1(上限1500万円)の助成を受けられる。
ちなみにJDCCが認定する「環境に優しいデータセンター」には、2015年11月25日現在で国内71のデータセンターが認定されている。都内の事業者であれば助成対象となり、移行先のデータセンターの所在地は関係ない。
事業主体が東京都環境局ということからも分かるように、この事業の目的はあくまで環境配慮であって中小企業のIT化支援を目指すものではない。しかし、こうしたスキームを利用すれば、中小企業はより低コストでクラウド型データセンターへの移行を実現できる。これを機にデータセンターの活用を検討してほしい。
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