このようなサービスはユーザー企業にどんなメリットをもたらすのだろうか。大規模化や複雑化したシステムの運用をより正確に、より効率よく、よりスピーディーに実行するというメリットはある。
だが、ユーザー企業にとって一番大きなインパクトとなるのは運用コストの劇的な低減だ。例えば、年間で1億円を超えていた運用コストが4000万円程度でできるようになるなど、従来の運用コストの60%ダウンを実現する企業も珍しくないという。
こうしたドラスティックなコスト削減は、一般的な運用サービスでのコスト要因となっているオペレータ人件費がほとんど発生しないことによって達成されている。端的に言えば、自動化によって削減できたベンダー側の人件費がユーザー企業に還元されたということである。
冒頭でも少し触れたが、システム運用コストは、経営層から常に削減要求が突き付けられるもので、業績が悪化した場合には真っ先にコストカットの対象となる。これまで1億円かかっていた運用コストを8000万円にしたぐらいではまだまだ十分ではないと判断される場合もあるだろう。
4000万円まで削減できれば、ユーザー企業にとってこれほど喜ばしいことはない。これはもうシステム運用の改善というレベルではなくイノベーションの領域だといえる。
ちなみに人工知能やロボットを使ったシステムマネジメントサービスと聞くと、大企業向けの非常にハイエンドなサービスを思い浮かべるかもしれない。しかし、このサービスでは運用そのものを自動化するので、サービスの対象となる企業システムの規模の大小は全く関係がない。
極端な例を挙げれば、サーバ1台の運用でもアウトソーシングできるということだ。もちろんコスト見合いの判断は必要だが、サービスの本質が分かれば自動運用の対象となるシステムの規模に制約がなくなることも理解できるだろう。
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