本稿で紹介したシステムマネジメントサービスは、一般的にはMSP(マネージドサービスプロバイター)と呼ばれるカテゴリーに分類される。MSPサービスは、ユーザー企業のサーバやネットワークなどの運用、監視、保守を代行するサービスだ。
現在のシステム運用をMSPサービスにアウトソーシングしようと考えた時の具体的な移行手順について、まとめておこう。
現在、社内でシステム運用を行っている場合は、IT部門に運用手順書などのドキュメント類がないケースがほとんどのようだ。往々にして特定のエンジニアの頭の中に色んなケーススタディが詰め込まれており、トラブルシューティングも属人化してしまっているのである。
この場合には、まずドキュメントの有無を確認し、メモレベルでもいいので手元にあるものを全て洗い出してサービスベンダーと共有するところから始める。運用の手順を明らかにし、その上で本来できていないプロセスはないか、あるいはベンダー側に今後どんな作業までフォローしてもらいたいか、お互いの役割分担や連絡系統までを詰めていく。
いままで存在しなかった運用手順書を作り、双方の役割を明確にした上でベンダー側にシステム運用を移行していけばいい。
既に何かしらのMSPサービスを利用しているが、アウトソーシング領域の拡大やさらなるコスト削減を目指して他のサービスベンダーに乗り換えたいという場合には、現行のサービスベンダーとの間で共有している運用手順書はあるだろう。
それを新たなサービスベンダーと共有し、先と同じく不足していたプロセス、追加してほしいプロセスなども盛り込んで以前の内容をブラッシュアップする。そして運用をベンダー側に移していくのだ。
参考までにおおよその移行期間は、ケース1、ケース2ともに大体同じで、対象となる物理サーバが数十台規模の場合で約1カ月程度だ。
これからIT部門はビジネス側の要求に応じてさまざまなシステムをよりスピーディーに立ち上げていく必要がある。同時に稼働中のシステム運用をおろそかにすることもできない。その際にMSPサービスの利用は大きな支援となるだろう。
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