ユーザー企業のニーズに応えるために、現在では人工知能とロボットを活用してシステムマネジメントをインテリジェントに自動化するサービスを提供する専業ベンダーが大きく存在感を増している。まずはその仕組みを紹介しよう。
このシステムマネジメントサービスは、大きく2つのプロセスに分けられる。1つ目が自動検知(=Auto Sensor-ing)のプロセスで、2つ目が自動制御(=Auto Direction)のプロセスだ。
前者はシステムに障害が発生した時に自動で検知する仕組み、後者は自動検知プロセスから上がってきた情報をトリガーにして、その後の制御を自動で行う仕組みだ。自動検知の対象にはサーバやネットワーク、ストレージに加えて、アプリケーションやIoTデバイスまでが含まれている。
ベンダーでは、これまで数千以上の顧客企業のシステム運用を支援する中で蓄積してきた膨大な検知データ(=ビッグデータ)をデータベース化しており、ここに自動検知プロセスから上がってきた検知データを付き合わせる。
そして、この障害は静観していいものか、ベンダー側で対処可能なものか、あるいは顧客へのエスカレーションが必要なものなのかを、スマートマシン(=人工知能)が判断する。障害対応のために何らかのコマンドを発行する必要があると判断された場合には、実際のその処理をロボット型のソフトウェアが行う。
検知データのデータベースは新たな事象が発生するごとにデータ量が増えていく。スマートマシンの判断材料は時間の経過とともに豊富になり、判断の精度も高くなっていく。また、ロボット型ソフトウェアは、よりインテリジェントな予兆検知という対応も行う。
例えば、自動検知プロセスから「サーバリソースが逼迫(ひっぱく)している」というアラートが上がってきた時、スマートマシンが「今回は静観という対応でOK」という判断をしたとする。だが、ロボット型ソフトウェアがこれまでのサーバリソースの使用傾向と照らし合わせ、逼迫状態は上昇トレンドにあるという状況が明らかになった場合には、その旨を顧客企業の担当者に通知する。障害発生という意味でのアラートではないがこのまま放置しておくと、やがて障害が起こるかもしれないという状況を教える事前アラートを出すわけだ。
ここで1つの疑問が出てくる。データベースに登録されていない未知の障害が発生した場合にはどうするのか。この部分については、ベンダー側のエンジニアが人手で対応を行い、その結果をデータベースにフィードバックすることで、システムマネジメントサービスをよりインテリジェントな仕組み”に成長させていく。
参考までにこのシステムマネジメントサービスは、ビッグデータをよりどころに人工知能とロボットを活用して自動運用されるが、ベンダーの専任エンジニアが仕組み全体を見守っている。
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