スマートデバイスが普及する中、標的型攻撃対策などIT資産管理の役割や形態も大きく変化している。実態を徹底解説。
岩上由高(Yutaka Iwakami):ノークリサーチ シニアアナリスト
早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻卒業後、ジャストシステム、ソニーグローバルソリューションズ、ベンチャー企業などでIT製品およびビジネスの企画、開発、マネジメントに携わる。ノークリサーチでは技術面での経験を生かしたリサーチ、コンサルティング、執筆活動を担当。
企業が管理すべきIT資産はハードウェアからソフトウェアまで多岐にわたる。一般的にIT資産管理と言えば、以前はライセンス管理や資産の棚卸が主体だったが、昨今はセキュリティ対策も含めた高度な取り組みへと変化しつつある。さらに、スマートフォンやタブレットが普及しつつある中では「多種多様なIT端末(デバイス)をいかに安全かつ効率的に管理すべきか」が重要となってくる。そこで本稿ではマルチデバイス時代に向けて、IT資産管理をどのように捉えていくべきなのかについて考えていくことにする。
以下のグラフは年商500億円未満の企業に対し、ノートPC、スマートフォン、タブレットの導入率を尋ねたものだ。ここでの「導入」とは企業でIT端末を購入する場合と個人所有の端末を業務で利用する場合(いわゆる「BYOD」)の双方を含む。
ノートPCと比べたときの導入率はまだ低いものの、スマートフォンは61.5%と既に過半数に達しており、タブレットも46.6%と半数近くにまで迫っている。上記に加えて、ノートPCとタブレットの双方の役割を一台で担う(「2in1」と呼ぶこともある)「タブレットPC」といった形態もある。
このように企業が業務で利用するIT端末は急速に多様化しつつあり、中にはPOSレジ端末の代替としてタブレットを活用するといった、従来は別の専用機器が担っていた役割をIT端末が担うケースもある。専用機器と比べて安価であることに加えて、アプリケーションによって画面や機能を柔軟に変えられることが大きな強みとなっている。
さらに、これまでと大きく異なる形状や形態を持つIT端末も登場してきている。眼鏡状の「スマートグラス」や手袋状の「スマートグローブ」などのウェアラブル端末だ。例えば、機器や設備の現地メンテナンスを行う場合、従来はマニュアルを参照しながら作業を行う必要があった。この紙面のマニュアルをタブレットに替えたとしても、作業中に手がふさがってしまう不便さは変わらない。
そんな場面で役立つのが、例えばスマートグラスだ。スマートグラスを用いれば、作業をしながらマニュアルが参照できるだけでなく、グラスに装着したカメラ映像を共有することで、事務所にいるベテラン社員が現地の若手にその場でアドバイスを行うといったことも可能になる。
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