こうした仮想PCの作成方式は、仮想PCの「プール」タイプに密接に関係している。必ずしもユーザー全員がいつも同時に仮想PCを利用しているわけではないので、フルクローン方式のようにユーザー一人一人の分の専用仮想PCを常に用意しておく(永続的プールとしておく)のはリソースの無駄という考え方もある。
あるユーザーの作業終了後には仮想PCを空にしてしまい、そこに別のユーザーをひも付けるようにすれば、同時接続するユーザー分の仮想PCがあればよいことになって、ストレージもサーバリソースも節約が可能だ。
常に誰でも使える「空席」(非永続=流動プール)をある程度用意しておけば、そこにリンククローン、MSC、PVSによって作業するユーザー用の仮想PCを作ることができるというわけだ。
また、IOPSの向上策として、単純にサーバを増やして負荷分散して解決すること以外に、高性能なストレージアレイを導入することも考えたい。現在ではオールフラッシュストレージを利用する手がある。
オールフラッシュの場合、HDDに比べて圧倒的なIOPSが得られる。例えば、ネットワンシステムズでは1000ユーザー規模の仮想PC環境で1分当たり100ユーザーがログインするテストを、オールフラッシュアレイを用いて行った。
その結果、ストレージのスループットはピーク時2万IOPS超、ログインに必要な時間が最大25秒、ストレージのレイテンシは200〜800μ秒だったという。しかも、オールフラッシュアレイのインライン重複排除機能により総容量は30分の1以下になったとのことだ。
IOPS改善と容量節約の効果は目覚ましいものがあり、装置は高額とはいえ、コスト効果はディスクアレイ装置よりも高い場合がある。オールフラッシュアレイは仮想PC方式には最適なストレージとなりそうだ。
なお、VMwareが提供するVirtual SANでは、サーバ内のHDDやSSDを仮想化して利用することができるため、ストレージ装置が多数あるほどIOPSを上げていくことができる。他にもサーバ仮想化プラットフォームであるVMware vSphereの機能としてストレージアクセラレータ機能によるキャッシュなども利用することができるので、工夫を凝らせばコスト最適にログインストームに対応することが可能だ。
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