ネットワーク管理において、ありがちな「失敗」を取り上げてみよう。自社のネットワーク管理がこのような状況に陥っていないかチェックしてほしい。
一番多いのは、実はネットワーク管理自体が「できていない」というケース。大規模ネットワークの管理者にとってみれば「あり得ない」と思うかもしれないが、取材を通じて「高機能なネットワーク管理ツールを導入しているにもかかわらず、あまりに多機能なため使いこなせず、結果として死活監視のみしかしていない」という声を聞いた。
こうなってしまうと、ITの進化によるネットワーク管理の課題に対処できないし、そうそうネットワーク機器も壊れにくくなっているために死活監視さえおざなりな「やったつもりの管理」になってしまう可能性がある。いざというときにスムーズな対処など期待できないだろう。
管理ツールを導入しており、しっかり監視できている場合も「ノウハウの属人化」状態に陥っていないかを確認すべきだ。特にこの分野では「何も起きていないこと」が重要なので上手く運用できている場合には気付けないことが多い。
万が一の事態に陥った場合になって「これって誰に聞けばいいんだっけ?」と右往左往することもあり得る。取りあえず関係しそうなスタッフを全員招集してというケースは笑い話にもならない。平常時だからこそ、ネットワーク管理のナレッジを整理しておきたい。
SIerを通じてネットワーク管理ツールを導入するケースも多いだろう。この場合、導入したツールのことをSIer自身がよく理解しているかをチェックする必要がある。例えば、コスト削減を重視した提案にのってオープンソースのネットワーク管理ツールを導入した場合など、SIerのサポート力のチェックが後回しにされてしまうこともあり得る。SIerにサポート能力がしっかりあるかどうか、また自社内にもそのツールを理解しているエンジニアがいるかどうかを含めた選定が必要だ。
「自宅のネットは無線」が当たり前の時代だ。その感覚で「格安のコンシューマ向け無線LANアクセスポイントを大量に導入しよう」とする気持ちは分かるが、これもよくある失敗パターンだ。
ビジネスで利用する無線LANにおいては、確実な管理手法が必要となる。無線LANアクセスポイントを複数置けば安定した通信ができると思い込んでいるケースも多いが、実際は電波干渉、空きチャンネル、利用率の管理などが行える管理ツールが必須だ。
そして無線LAN管理で見落とせないのは「野良アクセスポイント」の存在だ。スマートフォンのテザリング機能を利用し、独自にインターネットに接続することも簡単にできる。しかしオフィス内でそのような野良アクセスポイントを放置していると、情報流出のルートとして利用される可能性もある。このようなアクセスポイントが存在していないかも含めた管理が必要な時代なのだ。
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