コモディティサーバを利用する場合に注意が必要なのは、調達コストは低減できたとしても、サーバ台数が増えると運用管理工数も増加することだ。ハードウェアの保守はもちろんだが、汎用(はんよう)OS上のソフトウェアで運用することから、OSやソフトウェアのパッチ適用やアップデート、その際の動作検証に手間がかかるのは覚悟しておかなくてはならない。
またパフォーマンスは当然ハードウェアに依存するため、CPUやメモリ容量には一定以上のグレードが必要だ。ただしこれは、一面では利点でもある。
逆に言えば、サーバのパーツ構成を、ワークロードに応じて最適に整えることができるということなのだ。低コスト大容量のHDDにより大容量化を重視する構成もできるし、コンピューティング能力増強やPCIeFlash(サーバサイドフラッシュ)、SSDの装備などによって高パフォーマンスを重視する構成にもカスタマイズすることができる(図2)。
もっとも、ハイスペックなサーバやオプションを求めると、そもそも低コストなリソース調達の目的とは矛盾するかもしれない。
以上、SDS製品の3タイプについて紹介した。この他に、ストレージ専用アプライアンスをOS含めてそっくり仮想アプライアンスにした製品も選択肢に入るかもしれない。もともとのアプライアンスがブロック/ファイルアクセスに対応し、データ保護機能も備えているだけに、これを汎用サーバ上の仮想環境に導入することでSDS実現が可能。HP StoreVirtual VSA、EMC vVNXなどはこのタイプだ。
では、自社に最適なSDS製品を選ぶポイントは何だろうか。それを考えるには、自社で何を重視してSDSを実現したいのかをはっきりさせておく必要がある。主なユースケースは例えば次のように想定できる。
このようにユースケースを考えると、必要なIOPSや容量、品質(可用性)が見えてくるはずだ。それにより、従来型のストレージ専用アプライアンスが必要なのか、コモディティサーバを利用する方が有利なのか、検討できる。
SDS化にはあらゆるストレージ製品が対象になり得るので、例えば「ただ大きなデータを保管する低コストな入れ物が欲しい」場合には低スペックで低価格・大容量のコモディティサーバを利用する方式や製品をとればよい。「トランザクション処理も担当させたい」場合には、例えばオールフラッシュアレイをストレージプールに加えられるような製品を選べばよい。
ただし、既にストレージ専用アプライアンスなどを導入済みで、それを今後も利用し続けたいなら、まずはそのベンダーがSDS製品を提供しているか否か、提供していたらどんなラインアップがあるのかを調べてみるのが第一歩になるだろう。
SDSはマルチベンダー対応が1つの特徴ではあるが、製品ごとに既存装置との適合性に優劣があるのは否めない。同一ベンダーのソリューションであれば検証済みである場合が多いので、ベンダーロックインのリスクはあるにしても、一度は検討すべきだろう。
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