SDS製品ベンダーの中には、コモディティサーバを利用する方式と、既存ストレージにスケールアウト機能やオーケストレーション機能などのSDS要素を入れ込む方式との両面で取り組んでいる場合がある。
例えばEMCでは、図3のように各種の既存ストレージとコモディティサーバを利用しながら、ブロック/ファイル/オブジェクト/HDFS(Hadoop分散ファイルシステム)といった各種データアクセスを可能にする製品ラインアップを図っている。
豊富な機能と最小の遅延が必要な場合には、ストレージ専用のアプライアンスの能力はやはり魅力的。しかしスケールアウトによる利点を享受し、運用管理の労力を減らしたいという場合には、コモディティサーバをブロックストレージとして使うScaleIOやオブジェクトストレージのECS、異機種混在環境を一元的に管理可能にするツールのViPRなどが利用できる。効果を確かめて本格展開にかかることがお勧めだ。
さて、選び方のポイントだが、述べてきたように、既存ストレージを活用し続けたいかどうかが最初のポイントだ。既存ストレージの保守コストに加えてソフトウェアコストが乗る場合や、SDS化のためにハードウェアを購入する場合もあり得る。
コモディティサーバを活用する選択をしても、ハードウェア調達とソフトウェア購入・導入の初期コストは相応にかかる。どちらが低コストかではなく、将来のストレージ環境をどうしたいのかによって決断が必要だ。
オブジェクトストレージで利用するHTTP(REST)以外に、アプリケーションによってはブロックストレージを利用する場合のFC、FCoE、iSCSI、ファイルストレージのNFS、CIFS、SMBなどが必要になる。
また分析用途でのデータ活用を考えるなら、Hadoopの分散ファイル管理システムHDFSのサポートが必要な場合も多いだろう。必要なアクセス方式を洗い出し、SDS製品が対応可能かどうか、その場合のパフォーマンスに不安がないか、ある場合にハードウェアの強化などで解決可能かどうかについて検討がいる。
有償製品には、一般的な買い取り型のライセンス、サブスクリプション型のライセンス、一定期間(1年など)の想定利用容量単位での課金契約、サーバノード単位での課金契約などの種類がある。自社のストレージ利用状況をよく調べ、最適な契約形態を選ぶことが重要だ。
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