基本的なポイントではあるが、次のような点は必ず確認しておきたい。
オープンソース製品とそれ以外という選択軸もありうる。活発なコミュニティーがあるオープンソースソフトウェアの中には、単一ベンダーではまねできないほどのコード量を持つものがある。そうした製品は商業的な企業戦略に先行きが左右されることが少なく、継続的な発展が見込めるところも頼もしい。
SDSソフトウェアとして著名なCephやGlusterもそうした製品の一部だ。この両ソフトウェアは今はレッドハットが商用版を提供しており、同社のサポートが受けられる。商用製品だとEnterprise Linuxとドライバ、SDSソフトウェアのサポートが一元化できるのが1つの利点になる。
CephはOpenStackと連携可能なクラウドサービス構築のために主に用いられる、大規模用途を意図した製品で、分散したコモディディサーバをブロックストレージとして利用できる一方、オブジェクトストレージとしてHTTPでのアクセスも可能になっている。ブロックアクセスのパフォーマンスと、クラウドでのデータ管理に適したオブジェクトアクセスの両方の特徴を併せ持つ。
Glusterは、仮想ファイルシステムのGlusterFSを利用し、分散コモディティサーバで一定規模のネットワークファイルシステムを構築、ファイルアクセスを実現するものだ。図4にそのすみ分けのイメージを示す。こちらはスケールアウトが容易な仮想NASのようなものと考えれば良いかもしれない。
マルチベンダー環境でのSDSは理想的だが、現実には物理構成変更時のストレージのリバランシングが適切に行われて性能が期待通りに改善できるかの検証や、障害可能性検証、必要な管理機能の有無と動作検証、SDSソフトウェアのバージョンアップ時動作検証などのように、人間の関与が必要な部分は実はかなりある。
またサイジングはある程度大ざっぱでも構わない利点はあるにしても、やはり不安が残るところ。組み込むハードウェアの選定やSDS製品選定そのものにも、専門家の助言が必要になりそうだ。
このような不安に答えるように、ITサービス事業者からマルチベンダーSDSの関連製品選定から導入、機能・動作・障害・パフォーマンスなどの検証を行うサービスが提供され出した。例えば図5に掲げるCTCのCustom Order Storageサービスは、ユーザーの要件のアセスメントから最適な製品選定、製品の機能や性能検証までもパッケージしたものだ。
仮にストレージ技術の専門家が自社にいたとしても、製品適性の評価までは設備がなければ難しい。こうしたサービスを利用して、SDSに着手することも有意義だろう。SDSの特長の1つは、スモールスタートがいつでも可能なこと。ハードルが低いところからまず始めてみて、専門家の助言を得たり、実際の仕事を見た上で、本格展開を図ることも考慮に値する。
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