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重要ファイルの消失や破損に“最後の切り札”となるか? 「データ復旧ソリューション」の実力IT導入完全ガイド(3/4 ページ)

» 2016年06月20日 10時00分 公開
[吉村哲樹オフィスティーワイ]

「論理破損」と「物理破損」の双方に対応するデータ復元サービス

 一方、物理破損とはその名の通り、HDD装置の物理的な破損によるデータ損失のことを指す。具体的には、HDDの老朽化によりセクタ不良が多発したり、あるいはヘッドが故障してデータを読み出せなくなったりといったケースが多い。このような場合、データ復元ソフトウェア製品を使って論理破損からの復元処理を行っても効果は得られない。

 またHDDは精密機器なので、ユーザーが下手に中を開けて触ると、かえって被害を拡大させる可能性が高い。従って、物理破損からのデータ復元作業を行えるだけの設備と技術を持った専門業者に依頼するほかない。これを行うのが、データ復元サービスだ。

 データ復元サービス業者は、クリーンルームと専門機器がそろった環境で、専門スキルを持つ技術者が物理破損したメディアからデータを復元する作業にあたる。また多くの業者は、市販のデータ復元ソフトウェア製品を使ったデータ復元も行っており、論理破損と物理破損の両方のケースに対応した「ワンストップサービス」をうたっている。

図6 クリーンルームでの作業風景 図6 クリーンルームでの作業風景(出典:データサルベージ)

「100%ではない復元率」を少しでも高めるには?

 先に述べたように、論理破損の場合は復元作業を開始するまでHDDへのデータ上書きを極力避けなければならない。HDDにアクセスするプログラムがバックグラウンドで自動実行されたり、ネットワークを介してOSのパッチやアンチウイルスの更新データなどがダウンロード・インストールされたりすることを避けるために、問題に気付いたら即座に電源を落とすのが無難だ。

 また、HDDから異音がするなど、物理破損の可能性が高い場合も、一刻も早く電源を落として無駄にHDDを稼働させて被害を拡大させないようすることが大事だ。

 しかし実際には、IT分野の知識に自信があるユーザーほど、自身でさまざまな手を講じてデータ復元を試みてしまい、その揚げ句、意図せずデータを上書きしてしまったり、物理破損などの被害を拡大させてしまったりするケースが多いという。こうなってしまった後にデータ復元サービス業者に持ち込んでも、本来であれば救えたはずのデータがもはや“手遅れ状態”になってしまっていることが少なくないという。そのため、異変に気付いたら即座にマシンをシャットダウンし、そのままの状態でデータ復元サービス業者に持ち込むのが最適な初動となる。

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