ただし、よい傾向も見て取れる。図2は、ガートナー ジャパンの「日本における人工知能」に関する調査結果の一部だ(2016年2月調査。ユーザー企業のITリーダー515人が対象)。
左のグラフは、10年以内に人工知能が仕事にどう影響するかを尋ねた結果だ。人工知能が「仕事を奪う」「サポートする」との回答を合計すると54.6%を占め、過半数が仕事にAIの影響があると考えていることが分かった。関心の高さとともに、多くの人が人工知能による将来への影響を自分たちの問題として捉え始めていることが明らかに見て取れる。
右のグラフは、人工知能に関するスキルを獲得したいかどうかについて尋ねた結果だ。「スキルを獲得したい」という回答は41.3%となり、これも高率である。自分たちで新しいスキルを獲得したいと思っている人が4割以上いることは将来に希望の持てる結果だといえる。
調査結果とは別に、2016年に入ってガートナーの顧客から人工知能関連の問い合わせが急速に増えてきている事実もある。そのほとんどが「事例を知りたい」「どこから始めたらよいか」を尋ねるものだった。こちらは新しいテクノロジーキーワードが登場した際に共通に見られる現象である。
ここで注意が必要なのは、こうした基本的な事項を確認した後、結局、「何もしない」ということになる可能性も高いということである。上述のように、振り回されることもよくないし、慌てて飛びつく必要はない。しかしながら、こうした基本の確認を続け、結局、「常に何もしない」が落としどころでは、これは、そもそも仕事としてはどうなのか再考する必要がある。
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