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マイナンバー活用を個人に広げる「マイキープラットフォーム」とは?5分で分かる最新キーワード解説(2/3 ページ)

» 2016年10月12日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

「マイキープラットフォーム」のイメージと活用領域

 マイキー部分を国や地方自治体など公的機関だけでなく、民間でも活用しようというのがマイキープラットフォーム構想だ。利用者認証を低コストに安全、確実にできるメリットを生かせるように総務省および経済産業省、さらに民間業者がさまざまな適用領域を視野に入れて検討する。

 数々のサービスの認証を、マイナンバーカードだけで済ませられる「ワンカード」化が大きな目標の1つになっており、例えば、次のようなサービスでの活用が期待される。

  • 公共施設の利用カードとして:図書館、美術館、スポーツ施設、公共交通、駐輪、講座受講、市民ひろば利用など
  • 自治体用のポイントカードとして:子育て支援ポイント、ボランティアポイント、長寿祝い券ポイント、健康増進ポイント、生涯学習ポイント、イベント参加ポイントなど
  • 商店街のポイントカードとして:地域の商店街のポイントサービスや顧客管理を支援し地域を活性化
  • キャッシュカード、クレジットカードの代替
  • 各種施設やイベントの入場チケットの代替、チケット購入時の本人確認

 これらの利用者認証を必要とするサービスの利便性を上げ、提供コストを低下させるのがマイキープラットフォームの目的だ。

コラム:厳密な本人確認と現況確認が必要なサービスには公的個人認証サービスが使える

 マイナンバーカードのマイキー部分を利用すれば、さらに厳密な本人認証や現況確認が要求されるサービスでの利用も可能になる。例えば、以下のようなサービスが公的個人認証サービスを利用して可能になると考えられる。

  • 各種口座などのオンライン開設
    • 銀行口座、保険、クレジットカード、証券取引口座などの開設時の本人確認(業務効率向上、時間短縮)、携帯電話申し込み時の本人確認
  • インターネットバンキングやオンライントレード、ECからの商品購入、Webコンテンツ利用時のセキュリティトークン
  • 保険会社の私的年金支払い時の現況確認
  • コンビニなどでの公的サービスや民間サービスの利用時の本人確認

 このように多様なサービスとマイキーとをどう結び付けるかが、今後の大きな課題だ。マイナンバーカードは5年で更新され、証明書もそれに伴い失効し、新しいものに変更しなければならない。また、住所変更など記載内容が変わった場合も同様だ。死亡の場合はその時点で失効する。

 こうした運用上の難しさをカバーしながら、サービス利用の証跡データも管理したいとなると、企業独自の取り組みではハードルが高い。そこで高セキュリティを保証できる組織が「プラットフォーム事業者」として間に入り、証明書の真正性の検証と有効性の確認、さらに証跡の保存と照会などの機能を提供する仕組みが求められる。このマイキープラットフォームのイメージの一例を図3に示す。

商店街でのマイナンバーカードでのポイント管理のイメージ 図3 商店街でのマイナンバーカードでのポイント管理のイメージ。マイキーIDは利用者が任意で取得するID、サービスIDは各ポイントサービスで利用者に付与されている会員番号などのID、サービス端末はマイキーおよびポイントサービスを連携させる端末(出典:総務省)

 各種サービスの提供者はそれぞれのサービスをプラットフォーム事業者に登録し、プラットフォーム事業者は証明書データから生成されたユニークで汎用(はんよう)的なマイキーIDをマイナンバーカードのICチップに書き込む。

 そしてマイキーIDを、その人が利用するサービスのIDとひも付けて管理し、サービスの正当なユーザーか否かの認証手続きを行う。マイキープラットフォームは「マイキーIDとサービスIDの出会いの場」(総務省)というわけだ。

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