次に、経費精算システムに必要性を感じない理由をフリーコメントで聞いたところ、「件数が少ない」との理由が最も多く、その他「規模が小さく、Excelを添付する形での精算業務、経理処理に支障ないため」「交通費精算が発生する者は限られており、経費精算にかかる作業量は少ないため」「出張旅費や不定期な接待交際費などは頻度が低く、目的もパターン化できており、申請書類の入力にさほど苦労していないため」といったコメントがあった。
最後に、自社の経費精算フローやシステムに対する意見や要望を自由に記入してもらった。ほとんどのコメントは「処理にかかる手間を極力減らしてほしい」という要望に集約できるが、大別すると以下のような整理ができそうだ。
(1)の紙の領収書については、税制改正により、2017年1月より電子帳簿保存法の施行規則におけるスキャナー要件が緩和されるため、スマートフォンで撮影した領収書の画像と、3日以内に付与したタイムスタンプがあれば、紙の原本は不要になる。この変更に対応しているシステムを導入していれば、領収書の処理は楽になるだろう(ただし、所轄の税務署へ実施の3カ月前に届けを出す必要がある)。
(2)の交通費や(3)の定型パターンについても、対応しているツールがあるので、従業員のニーズに合わせて再検討することで処理の効率化が図れるかもしれない。(4)の精算までのリードタイムやスパンについては、社内ルールの問題であるためツールでの改善は難しいが、担当者レベルではこのような不満も抱えていることを覚えておいてもよさそうだ。
後編では、経費精算システムを導入している企業のうち、46.8%の企業が自社開発ツールを利用していることや、今後、経費精算システムを選定・活用する際の重視するポイントとしては、「柔軟なフロー設計、カスタマイズ性」や「モバイル対応」が上昇傾向にあることなどが明らかになった。
経費精算処理は、どこの企業でも生産性のない事務作業になっている場合がほとんどだ。従業員に業務時間を有効に使ってもらうためにも、経費精算システムを有効的に活用してみてはどうだろうか。
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