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シスコの「従業員100人以下」狙いが成功、中小企業向けリースを開始(2/2 ページ)

» 2017年04月05日 10時00分 公開
[宮田健キーマンズネット]
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中小企業の管理負荷を下げるクラウドサービスと組み合わせ

 さらに、Cisco Startの製品群にクラウドサービスを組み合わせた展開も発表された。シスコが持つセキュリティソリューション「Cisco Umbrella」と、コラボレーションツール「Cisco Spark」だ。

 これまで企業ネットワークの境界セキュリティはファイアウォールやIDS/IPSが担ってきた。しかし、モバイルデバイスの普及により「境界」の概念がぼやけており、今までの境界外の部分でネットワークに接続されてしまう。

 Cisco Umbrellaは、脅威が存在するWebサイトへの接続を遮断し、運用者が不在になりがちな中小企業に対してシンプルなセキュリティを提供する。導入方法はDNS設定を変えるだけだ。モバイルデバイスなどのネットワークの境界外にある端末の通信をDNSでブロックするだけでなく、既存のセキュリティ対策製品と組み合わせて使うこともできるので多層防御の1つの選択肢となり得るだろう。

 脅威情報は、1日当たり120TB、130億のURL情報を分析している。従業員が既に危険であると判断されているサイトや業務に関係ないサイトにアクセスすると警告画面を表示する。この画面に表示されるCisco Umbrellaのロゴ、メッセージ、連絡先情報は管理画面で変更可能だ

図4 Cisco Umbrellaの警告画面 図4 Cisco Umbrellaの警告画面

 一方、Cisco Sparkは、スマートフォンやWebカメラを活用し、遠隔地とのコミュニケーションを円滑に行うクラウド型のコラボレーションツールだ。Cisco Startブランドとしては、「中小企業働き方改革パッケージ」として、Cisco Sparkとビデオ会議システム「Cisco TelePresence」をバンドル提供する。設定は画面に表示される16桁のコードを入力するだけで完了し、IPアドレスの確認などは不要だ。1台のビデオ端末と200IDライセンスで、1万800円〜/月で提供を行う。

図5 TelePresenseのカメラ端末 図5 TelePresenseのカメラ端末

ローエンド製品の展開は既存市場にも好影響

 これらの新製品、新サービスに加え、中小企業がCisco Start製品を導入しやすくするために新たなリースサービス「Cisco Start easylease(イージーリース)」をスタートする。クラウドサービス/オンプレミスの両方を購入した場合でも契約を一本化し、手続きの簡略化、与信審査の簡素化を実現する。

 リースの特徴である初期投資が軽減できる仕組みで、例えば、Cisco Startのスイッチ「SG110D-08-JP」であれば400円/月、25人規模のオフィスパッケージ(ルーター1台、スイッチ5台、ワイヤレス1台)であれば5600円/月程度で利用可能になる。

高橋慎介氏 シスコシスコシステムズ 高橋慎介氏

 シスコシスコシステムズ 専務執行役員 パートナー事業統括 高橋慎介氏によると、2015年9月から展開したCisco Startシリーズは順調な立ち上がりを見せているという。2016年度はエントリーモデルの売上率が同社の中で16%にまで伸び、前年度の売り上げを半年で達成した。

「新しい市場を開拓できただけでなく、これまで他社製品と使い分けていたローエンド部分をシスコ一本で提供できるようになったため、大企業内のブランチオフィス市場も奪回できている」(同氏)。

 この成功を受け、日本向けに始まったCisco Startが新たなブランドロゴを作成し、アジア地域でも展開することが決定した。新ロゴは同社のロゴでおなじみのゴールデンゲートブリッジをさらに拡大したイメージで作られた。「シスコとしてなじみ深いイメージを、中小向けによりクローズアップしてアピールしたい」(同氏)。

図6 Cisco Startの新ロゴ 図6 Cisco Startの新ロゴ

 これまで「大企業のもの」という印象だったシスコ製品が、Cisco Startによって業種を問わず、中小規模の企業に広まっている。同ブランドが掲げる「シンプル、スマート、セキュア」というテーマが日本の中小企業のIT化を支援していくことだろう。

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