日本アイ・ビー・エムの紫関昭光氏は開発ツール「Fabric Composer」を紹介した。現時点ではHyperledger Fabric向けの開発ツールだが、将来は他のブロックチェーン技術にも対応するかもしれないとのことだ。
Composerの前提となる問題意識は次の4つが挙げられる。
(1)スマートコントラクトの可視化
現状のHyperledger FabricではGo言語でスマートコントラクト(Chaincode)を実装する(なお、Java言語も利用可能)。Go言語が読めないビジネスマンにも理解できるようなスマートコントラクトの記述手法が必要だ。
(2)より迅速なアプリケーション開発
(3)テスト自動化による信頼性の向上
(4)高いレベルでアプリケーションの変更が可能な柔軟性を実現するためのさらなる抽象化
これらの問題意識に対応するツールがComposerということになる。その内容は「簡単に扱えるモデリング言語」「JavaScriptツール」「Webのクライアントライブラリ」「エディタ」「ユーティリティー」「コード生成ツール」などの組み合わせである。
アプリケーションの成果物は“Business Network Archive”と呼ぶ1つのzipファイルにまとめ、デプロイできる。既にBluemixのWebサイト上で動くComposerの実物を試すことができる。Hyperledger Fabricの実環境がなくても、Composer内部でアプリケーションをシミュレート実行してテストすることができる。
なお、現状のComposerはオープンソースではあるが、Hyperledgerの正式なメンバーではない。インキュベータプロジェクトとして採用するための審査を受けているさなかである。
もう1つの開発ツールが、富士通が開発中の「Fabric-Java SDK」である。
Fabric v1.0では、それまで提供していたREST APIをセキュリティ上の問題から廃止する予定であり、その代替としてFabric-Java SDKの開発が進められている。Fabric v1.0では分散処理が高度になったので、ノードが増えたり減ったりする状況が発生する。REST APIではこの状況でサーバ(ノード)を追跡し続けることが不可能との事情もある。
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