セルフサービスBIを漠然と導入すると、無駄な投資になりかねない。導入方法や使い方を誤らないために、あらためてセルフサービスBIへの正しい認識を紹介する。
ビジネスの意思決定のため、素早くしかも自分の手でデータの視覚化や分析を行うことができる強力なツールが「セルフサービスBI」です。クラウド版など、会社の規模に合わせて導入しやすいものが多数提供されていますので、検討している会社も多いでしょう。
確かにうまく活用すれば、ビジネスの意思決定のための強力な道具となるセルフサービスBIですが、導入方法や使い方を誤ると無駄な投資になりかねません。そこで今回は、セルフサービスBI導入でありがちな失敗を紹介します。
「Excelより美しく説得力のあるグラフが作れるツール」としてセルフサービスBIを考えるのは誤りです。セルフサービスBIはあくまでさまざまなデータを取り込みながら分析するためのツールであり、単なる視覚化ツールと捉える無駄なツールになりかねません。単に会議に提出するためのグラフを作るのであればExcelで十分です。
BIで視覚化すればきっと何か見えてくるはず、と過度に期待してセルフサービスBIを導入してはいけません。セルフサービスBIはさまざまなデータ分析機能があるため、ある意味「何にでも使える」といえますが、その分たくさんのデータからどんな情報を得たいかという明確な目的がないと、「ツールを使うことが目的」といった状況に陥ってしまいます。
例えばPOSデータを使った売り上げ分析であれば、売り上げデータから地域別や商品別、年齢層別などいろいろな視点で視覚化し、その結果を見た上で分析するという使い方がセルフサービスBIの本来の姿です。
さすがにデータが全くない状態からBIツールを使って分析しようという企業はないと思いますが、分析するためのデータが十分になければセルフサービスBIは機能しません。
売り上げ分析でも、単に日別の売り上げだけでは曜日による違いやひと月の中での時期的な傾向しか見えてこないでしょう。顧客の年齢層情報や商品別の売り上げ情報などの詳細な情報がなければ、BIツールでも分析はままならず、導入の効果は見込めないでしょう。
何にでも使えるが故に、使い方を理解していないと「何にもできないツール」になってしまいがちなのがセルフサービスBIです。これまでも述べた通り何のために使うのかを明確にして使わない限り、有効なツールとしては機能しません。
従業員が使い方を理解しないまま使わせようとしてしまうと、抵抗感を感じたり、使いこなすことができなかったりと、結局使えない道具となってしまいます。導入に当たっては、必要な人だけに提供し、使い方の教育をしっかり行うことが大切です。
汎用(はんよう)性が高く、さまざまな分析や視覚化ができるセルフサービスBIツールだからこそ、目的を明確化し、導入にあたってはしっかりと社員へのサポートを行うということが、セルフサービスBIツール導入のカギといえるでしょう。
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