先に標準化された「OGC Moving Features Encoding」は、これまでのOGC標準とそれをベースにしたISO標準(ISO19141:2008)では実用的な規定がなかった部分に踏み込んだ。さまざまな方法で収集される位置情報のデータ形式を、ベンダーごとに異なるGISで利用可能にするための標準形式に落とし込んだのである。
その形式はCSVとXMLだ。内容はそう複雑なものではない。CSVを利用する場合の一例を、図1に示す。ヘッダ行にはメタ情報(図の場合は@stboundedbyで時間と空間を特定し、@columnsでそれ以下の移動履歴を示すデータの属性を示している)が記され、続いて時間・空間情報を含む移動体(単体または複数)の軌跡などの情報が数値などで書き込まれる形だ。XMLの場合はタグを付加して各属性データを記述することになる。
そもそもは軽量化のためにCSVが候補だったのだが、拡張性を考えてXMLも採用されたとのこと。他にもバイナリ形式、JSON形式も議論されているが、データ処理の複雑さを避け、早期の実装を図るため、まずは第一ステップとしてCSV形式を優先して標準化した。ちなみにバイナリ形式だとCSVよりも若干データサイズを小さくでき、処理も高速化が期待できる。XMLの場合は、拡張性に富んで論理的に好ましいデータ構造にはなるが、データサイズはCSVの倍以上になり、処理負荷も高くなりそうだ。
データの標準記述形式が決まったところで、それに沿ってデータにアクセスする方法が議論された。それがOGC Moving Features Accessで、2017年3月に標準がリリースされたばかりである。
もともと移動体の地理空間情報の利用法はISO 19141:2008で抽象的なレベルで定義されているが、複数のデータソースを統合して活用するには不十分。そこで移動体の移動履歴にHTTPやSQL、Javaなどでアクセスするための機能(API)に求められる要件(機能の一覧)が新しく定義された。詳細はOGCのドキュメントを参照してほしいが、主なポイントは以下に記すようなデータ取得が容易に行えることである。
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