では、標準形式化されたデータから、標準的なアクセス方法でどんな情報が得られるのだろうか。標準策定の過程で提案されたユースケースを交えて考えてみよう。
例えば被災地に向かう道路を移動する人や車(のGPS情報)の位置を、「OGC Moving Features Access」で定義された「pointAtTime」という関数ですぐに取得し、その速度は「velocityAtTime」という関数で導きだせる(図3)。
何も災害対策だけが目的になるわけではない。これを人の動線と特定場所への滞留の状況を把握するのに使えば、イベントや店舗などのフロア設計、陳列・展示計画などに役立てることができそうだ。
被災地に救援に駆け付ける車両、船舶、航空機などが、被災地近くに来ているのかどうかを確認するのにも、簡単な関数でデータを取得できる。
例えばトラック物流でこのデータを利用すれば、配送スケジュール管理や倉庫側での入庫・出庫オペレーションを効率化することにつながりそうだ。
複数の移動体の接近状況を割り出す関数もある。これによれば、やはり人と自動車、自動車同士、船舶同士、航空機同士などといった移動体同士の衝突防止や事故予防に役立つことだろう。
例えば船舶の航行の安全を考えると、海上での位置関係、航行速度、航行方向などの全てのデータを対象にしなければならない。共通のデータ形式と共通のデータアクセス方法があれば、多国籍の船舶が狭い海域に集まるようなケースでも、相互の移動状況を確認することで安全が図れることになろう(図7)。
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