ファーウェイ・ジャパンがクラムシェル型PCを発表。このタイミングで市場に振り込む意味は何なのか?
華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)は2017年7月4日、同社初のクラムシェル型PCとなる13インチの「MateBook X」と、2016年にリリースした2-in-1「MateBook」の後継機となる12インチの「MateBook E」を発表した。市場想定価格はMateBook Xが14万6800円から、MateBook Eが9万2800円からで、いずれも2017年7月7日より発売を開始した。
MateBook Xは、同社が初めて手掛けるクラムシェル型のPCだ。同社製スマートフォンと同様のつや消しのアルミボディーに、スマートフォンで培った狭額縁設計を採用し、13インチ(2160×1440ドット)のIPS液晶を搭載しながら、A4サイズよりもコンパクトかつ、厚さ12.5ミリのスリムな筐体を実現している。一方のMateBook Eはタッチ操作可能な12インチ(2160×1440ドット)のIPS液晶に、同じく狭額縁設計を採用。厚さ6.9ミリのスリムな筐体が特徴となっている。
発表会に登壇したファーウェイ・ジャパン プロダクトソリューション統括部本部長の楊 勇氏は冒頭、世界のコンピュータ市場でノートPCの出荷台数が落ち込んでいる現状について、「メーカーが研究開発よりも価格競争に注力した結果、革新性が乏しくなったのが原因」との持論を展開する。一方で「ウルトラスリムや2-in-1にフォーカスすると、むしろ市場は徐々に加熱傾向にある」と分析。これまでスマートフォンでさまざまな技術開発に取り組み、そこで培った技術力を武器に、ウルトラスリムや2-in-1にフォーカスしてコンピュータ市場に参入する意向を示した。
楊氏が「多くの革新性を持つノートPC」と語るMateBook Xには、筐体がスリムでコンパクトな点以外にも、注目すべきポイントがある。
MateBook XはCPUに第7世代のIntel Core i7プロセッサ、またはCore i5プロセッサを搭載。インテル執行役員マーケティング本部本部長兼北アジアマーケティングディレクターの山本 専氏によれば、同CPUの採用により5年前のチップセット比で約9倍の大幅な処理性能を向上させたという。
また、高性能なCPUのパワーを生かすには廃熱処理が重要だ。MateBook Xではファンレス化を実現するために航空宇宙分野で使用される特殊な冷却素材を用いた独自の「Huawei Space Cooling Technology」を採用している。
さらに、PCでは世界初となる「Dolby Atmos Sound System」を搭載している。ドルビージャパン社長の大沢幸弘氏は、これはドルビーがファーウェイと協力し、ソフトウェア、ハードウェアの両方を特別にデザイン、チューニングして実現したものと紹介。ノートPCとは思えないほどの音圧をサポートし、大音量でも音がひずまず、立体的かつ包み込むようなサウンドが楽しめるという。
ビジネス市場では音質を軸に製品選びをすることは少ないが、大沢氏によればコンシューマー市場では60%の消費者が、新しいPCを買う時に音質を重視すると答えているという。今回はコンシューマーを中心に市場開拓を狙うようだ。
MateBook Xはこの他、ファーウェイがスマートフォンで培ってきた高速かつセキュアな指紋認証機能を搭載。キーボード右上に設置する電源ボタンと一体化されたセンサーで、ボタンを押してPCを起動すると同時に「Windows Hello」による生態認証が行え、スマートフォンのように素早く使える。
MateBook XのCore i5はSSDが256GB、Core i7はSSDが512GBで、メモリはいずれも8GB。カラーはCore i5モデルがローズゴールドとスペースグレー、Core i7モデルがプレステージゴールドだ。
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